記事作成を外注する際、担当するライターのためにメディアのルールをまとめたものが「記事作成のマニュアル」です。
外注ライターを利用している多くのメディアやブログでマニュアルが作られていますが、中には「マニュアルって本当に必要なの?」「何を書けばいいのか分からない」という疑問をお持ちの方もいるでしょう。
そんな方のために、この記事では「マニュアルの用途」と「作り方」について解説していきます。
外注ライターを利用しているけれどマニュアルを作っていない方、これから外注化を検討している方におすすめの内容なので、ぜひ参考にしてください。
目次
記事作成を依頼するのにマニュアルは必要?
そもそも、外注ライターへ記事作成を依頼するのになぜマニュアルが必要なのでしょうか。
マニュアルは作成業務そのものにも手間がかかるため、中には「できれば作りたくない」という依頼主もいるでしょう。
この章では「マニュアルがないと記事作成の依頼はできないのか」「マニュアルが必要なのはどんな理由か」を解説していきます。
記事作成のマニュアルはなくても外注ライターへ依頼はできる
結論から言うと、記事作成のマニュアルがなくても外注ライターへの依頼はできます。
マニュアルを用意していないからといって、「記事作成を外注してはいけない」というルールはありません。
事実「マニュアルを作らずに作成後の記事修正で対応してもらう」という方針を取るメディアも存在します。
では、マニュアルが必要とされるのはどのような場合なのでしょうか。
マニュアルを作る目的は記事の品質をそろえること
マニュアルを作る最大の目的は、記事の品質をそろえることにあります。
マニュアルはライターにとって道しるべともいえるもので「どんなテイストで書けばよいか」「どのように仕事を進めればよいか」の基準となるものです。
そのため、マニュアルがないと、ライターはそれぞれ異なる基準で記事を作成します。
結果として、担当者ごとに書き方も品質も異なる記事が上がって来てしまうのです。
例えば、Aさんは文末表現を「ですます調」で仕上げてきたのに対して、Bさんは「である調」で仕上げてくるといったことがおきます。
記事作成のルールをマニュアルにまとめることで、ライターごとの書き方の違いを統一し、記事の品質を一定に保つことができます。
低単価で多人数のライターへ外注する際マニュアルは不可欠
記事作成を依頼する際にマニュアルが必須となるのは「低単価で多人数のライターへ外注するケース」です。
ひとり当たりの報酬をあまり確保できない案件では、経験の浅いライターや初心者のライターを起用する場合があります。
・他のサイトの文章をリライトしたものは禁止
・画像の著作権に注意する
など、経験者なら「言わなくても分かること」であっても、初心者には明示する必要がある項目は意外と多いものです。
特に複数人のライターに依頼する場合、それぞれにルールを説明するのは時間も手間もかかります。
以上のような場面では、ルールを明文化し配布できるマニュアルの存在は非常に有用ですね。
記事作成依頼用のマニュアルに必要な項目は?
外注ライター向けの記事作成のマニュアルを作るとき、具体的にどのような内容を盛り込めばよいのでしょうか。
記事作成のマニュアルに記載する項目は、大きく「記事の目的」「記事内容についての規制」「記事作成の進め方」の三種類に分かれます。
それぞれどんな項目を設ければよいか見ていきましょう。
記事の目的を共有する
記事作成を依頼する上で重要なもののひとつが「記事の目的を共有すること」です。
何のための記事なのか、どんなメディアにしたいのかによって、記事に記載する内容も変わってきます。
たとえば、同じジャンルの記事でも「自社商品を紹介し問い合わせに繋げる記事」と「お役立ち情報の提供記事」では、話の進め方も想定する読者も違いますね。
アクセス数にも直結する要素なので、マニュアルには必ず記事の目的を記載するようにしましょう。
記事の内容のルールを設ける
記事を書く上での具体的な記述ルールも記載しておきましょう。
記述に関するルールをおろそかにすると、記事ごとにテイストの違うメディアになってしまいます。
記述ルールをどこまで定めるかは希望によって変わりますが、以下の内容は最低限盛り込んでおくとよいでしょう。
・画像選定の有無(枚数)
・文体(ですます調、である調など)
・参考文献についてのルール(公式情報や一次情報のみ、など)
・数字の表記について(数字は半角のみ利用するなど)
・改行や装飾について
・使用を禁止する文字(環境依存文字や記号「♪」「☆」など)
その他にも、記事のレイアウトやフォントの指定など、守って欲しいルールがあれば盛り込んでおきましょう。
記事作成の進め方を解説する
経験の浅いライターが多いのであれば、どんな流れで記事を作成すればいいのかという点もまとめておきましょう。
初心者だと、そもそもどんな流れで記事を作成すればいいか分からないことも多いからです。
記事作りの流れは、基本的にはライターが自分で勉強しなければいけないものですが、品質を底上げするために簡単にまとめて共有しておくことをおすすめします。
記事作成の流れは以下の記事で紹介していますのでマニュアルを作る際の参考にしてください。
WordPressなど、CMSに直接納入してもらう場合、記事の投稿や編集、リンクの操作方法も合わせて伝えておくことでライターがスムーズに入稿できますね。
記事作成依頼用のマニュアルはどうやって作る?
マニュアルを作成したいとき、どのように進めればよいのでしょうか。
記事作成のマニュアルの作成手順を見てみましょう。
ライターの作業範囲を決定する
まず、記事作成で依頼するライターにどこまで作業してもらうかを決定します。
ライターの担当フェーズに応じて、マニュアルに何を書くかも変わってくるからです。
記事作成において、ライターに頼める作業は大きく以下の四つの段階に分けられます。
① 企画・キーワード選定
② 記事構成の作成
③ 記事の執筆
④ 入稿
一般的には「記事構成の作成と記事の執筆を依頼する」「記事の執筆のみ依頼する」という二つのパターンが多いです。
外注にかけられる費用も考慮しつつ、どこまで頼むのか考えてみてください。
どんな記事を書いて欲しいのか整理する
次に、どんな記事を書いて欲しいのかを整理していきます。
依頼者の中で記事のイメージがまとまっていなければ、ライターと共有するのは難しいので、以下のような内容を詰めてみてください。
・記事の目標(記事作成をとおして達成したいこと)
・記事のテイスト(ライトで親しみやすいテイスト/やや硬めで真面目なテイスト、など)
・想定読者層(誰が読むのか)
誰向けのどんなメディアなのかが分かれば、自然にどんな記事がふさわしいのか見えてきますよ。
希望を具体化しマニュアルの項目を埋めていく
洗い出した希望を、マニュアルの各項目に反映していきます。
先ほど紹介した項目を参考に、記事ルールを決めてみてください。
「読みやすい文章にしたいので改行は多めにする」「専門メディアだが初心者向けなので専門用語は注釈をつける」など、メディアに合わせたルールを一つずつ作ってみましょう。
YahooやGoogleといった検索エンジンでの上位表示を目指すのであれば、SEO対策の解説も必要となってきます。
SEO面で重要な「キーワード」を意識的にタイトルや見出し部分などに入れ込んでもらう必要も出てくるためですね。
コンテンツ内に入れ込む「キーワード」を探したり決定するためのツールの使い方マニュアルなども合わせて必要となるでしょう。
GoogleドキュメントかGoogleスプレッドシートでの共有がおすすめ
完成したマニュアルは「Googleドキュメント」か「Googleスプレッドシート」で共有するのがおすすめです。
以上の二つのサービスを利用するとWEB上で文章を公開できるため「ライターそれぞれにファイルを配布する」「更新のたびに再配布する」といった手間がかかりません。
マニュアルを一度作れば、URLを共有するだけで公開できるので非常に便利です。
ユーザーごとに「閲覧のみ」「編集可」など権限を設定できるため、無断でマニュアルを編集される心配もありません。
ぜひ活用してみてください。
※参考⇒ファイルを一般公開で共有する – G Suite ラーニング センター
動画マニュアル作成もおすすめ
マニュアルというと、テキストをイメージする方も多いと思います。
結論から言うと、テキストマニュアルだけでなく、動画マニュアル作成もおすすめです。
なぜなら、文字よりも動画のほうが伝わりやすいケースも多々あるからですね。
例えば、文字数が少ない場合はムリに動画へする必要ないでしょうが、何ページにもわたっての文章量となると、作るほうも大変ですし、読んですべての内容を正しく理解するのも大変です。
しかし、動画マニュアルを作るのは大変そうなイメージを持つ方も多いでしょう。
人気ユーチューバーのようにテロップを入れたり動画編集もするのであれば大変ですが、「内容を伝えるだけ」であれば短時間で作成可能です。
それでは動画マニュアルの具体的な作成手順について説明していきます。
1.無料キャプチャー動画ソフトで撮影する
無料キャプチャー動画ソフトのバンディカムで撮影するのがおすすめです。
※バンディカムは以下のサイトから無料ダウンロード可能です。
https://www.bandicam.jp/
バンディカムは無料で使えるため金銭的リスクもなく、特別な使用マニュアルがなくても使い方がわかるぐらい使い方はカンタンです。
具体的な使い方については「こちらのページ」にて紹介されています。
ただし、無料版の場合、録画時間が10分経つと強制的に修了されてしまうデメリットがあります。
もし、10分以上の撮影を考えるのであれば、有料版もおすすめです。
有料ライセンスは1PCあたり4,400円の1回払いとそこまで高くないためですね。
※バンディカムの有料版についてはこちら
https://www.bandicam.jp/buy/
まずは、無料版で使ってみてから、判断すると良いでしょう。
2.ひとつのテーマでひとつの動画撮影
動画マニュアルを作るうえで、30分~1時間とまとまった内容の撮影を考えている方に多いと思います。
結論から言うと、ひとつのテーマごとに細かく区切っての動画マニュアル作成がおすすめです。
ひとつにまとめてしまった場合、後からミスが発見されると対象部分の編集が必要であったり、最悪の場合はイチから撮影しなおすハメになるからですね。
そのため、記事作成マニュアルの場合であれば、以下のようなテーマで、ひとつあたりの動画時間が短くなっても良いので細かく分けて用意していきましょう。
例)
- 文字装飾の仕方
- 見出しタグの使い方
- 「こそあど言葉」とは
また、長時間のマニュアルは作成者だけでなく、確認するライター側にとっても不便です。
なぜなら、一部分だけ調べたい場合、動画の中から探しにくいためですね。
例えば、文字装飾タグの使い方だけ知りたい場合、動画の何分~何分の間なのか?」とったことを別でメモしておかないと、最初から観て探す、無駄な手間が必要となります。
3.作成したマニュアル動画をYou Tubeの非公開動画or限定公開動画へアップする
作成したマニュアル動画は、You Tubeの「非公開動画」、または「限定公開動画」へアップしていきましょう。
なぜなら、You Tubeであれば慣れ親しんでいる人も多いため、特別な説明がなくてもマニュアルを観てもらいやすいからですね。
また、無料で使えるうえ、非公開動画、限定公開動画にすることで一般ユーザーに観られないようにも設定できます。
※非公開動画を相手にも観られるようにするには「Googleアカウント」の共有が必要です。
4.マニュアル動画をアップしたYou TubeのURLを依頼したライターにわたす
You Tube動画でマニュアルが完成したら、後はURLを依頼したライターさんへ渡せば完了です。
また、動画マニュアルに合わせて、カンタンでも良いのでテキストも合わせてわたすと、ライターさんはより理解しやすいことでしょう。
記事作成依頼用のマニュアルを作成する際の注意点
記事作成のマニュアルを作成する際は、以下の二点に注意してください。
・マニュアルは複数のファイルに分けない
・変更を随時追加する
一つずつ詳細を確認していきましょう。
マニュアルはなるべく一つのファイルにまとめる
外注ライター向けの記事作成用のマニュアルは、なるべく一つのファイルにまとめるようにしてください。
マニュアルが複数ファイルに分かれていると、ルールの見落としが発生しやすくなります。
どうしても分量が増えてしまう場合は、Googleスプレッドシートでシートごとに分類するのがおすすめです。
別のファイルに分ける場合は「表記ルール」「記事作成の進め方」など、ファイルごとに何が記載されているか分かるように分類してください。
マニュアルの内容は随時更新していく
マニュアルは「作れば終わり」というわけではなく、場合によっては随時更新が必要になります。
というのも、一度マニュアルが完成したあとでも、記事作成を進めるうえで「もっとこうしたい」「表記はこちらの方が分かりやすい」という希望が出てくるからです。
例えば、最初は「こそあど言葉」の使用OKにしていたのを、文章が読みづらかったことから後々NGにするといったことですね。
マニュアルの内容を変更する際は、担当しているライターにひと言連絡すると、納品時のチェック漏れを防ぐことができますよ。
まとめ
外注ライター向けの記事作成マニュアルは、外注を利用する際に必須というわけではありません。
しかし、経験の浅いライターを複数人抱える案件では、記事の品質を安定させるために記事作成における基準が必要です。
「マニュアルを作るのが大変…」と思う向きもあるかもしれませんが、ルールの周知のためには資料にまとめて共有するのが最も効率的なので、検討してみることをおすすめします。
当記事を読んでもいまいちピンと来ない場合は、クラウドソーシングで他の方が出しているライター求人募集ページをチェックするのもおすすめです。
募集ページ内に具体的な指示書を明記している記事発注者も多くいるからですね。
また、マニュアル作りが苦手だったり面倒な場合は、代行業者へ丸投げするのも一つの選択肢と言えますね。
詳しくは「Web記事作成代行サービスでおすすめの依頼先3選の記事内でも解説しています。
マニュアルの作り方は今回の記事でも紹介していますので、作成時の参考にしてください。

伊藤陽介
