ライターの仕事の中で、SEOライティングと並び需要の大きいのが「インタビュー取材記事」です。
しかし、インタビュー取材記事は準備する内容が多く難易度も高いことから、多くのライターが苦手としている記事でもあります。
そんな方のために、この記事ではインタビュー取材記事の作成方法について、基本的なコツを紹介していきますね。
- どんな流れでおこなうのか
- どんな準備をすればいいのか
- どんな注意点があるのか
などを解説していきます。
インタビュー取材記事とは?
インタビュー取材記事とは、簡単に言うと取材を通して得た情報を文章にまとめた記事のことです。
インタビュー対象の生の声を記事として発信できるので、ターゲットの親近感を得やすいのが特徴ですね。
たとえば、企業用システムの導入事例であれば「使ってみた感想」「導入して良かったこと」などをインタビューし、記事を作成します。
生の声を発信することで「自分のところでも効果が出そうだな」と受け取ってもらえる確率が上がりますね。
その他のジャンルでもさまざまなインタビュー記事は存在しますが、読者により刺さる内容を発信できるという点は共通です。
インタビュー記事の三つの形式
インタビュー記事は、大きく分けて三つの形式に分かれます。
メディアの形式や目的に合わせて以下の三種類を使い分けることになりますね。
対談形式 | インタビュアーとインタビュイー(取材される対象者)の会話調の記事。 読みやすく臨場感を与えやすい。 |
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一人称形式 | インタビュイー(取材対象)が語っているようにまとめる。 インタビュイーの人柄を読者に伝えやすいが、文章はやや冗長になりやすい。 |
三人称形式 | 主に第三者視点で文章をまとめ、時折カギカッコ内にインタビュイーのコメントを挿入する形式。 情報量が多く濃い内容の記事を作りやすい。 |
以上のようにそれぞれ特徴があるため、記事の内容によって適したものを選びましょう。
インタビュー取材記事作成の流れは?
では、具体的にインタビュー取材記事の作成する手順を紹介していきます。
インタビュー取材記事の作成は大きく7段階に分かれますね。
それぞれどんなことをすればいいのか確認していきましょう。
どんな企画にするかを考える
まずは、インタビュー記事をどんな企画にするのかを考えていきます。
この部分が固まっていないと、以降の内容を決定できません。
企画を考えるうえでは、読者がどんな内容を知りたがっているかを基準にするとアイデアが浮かびやすいです。
たとえば、採用メディアや求人サイトに掲載する記事であれば、読み手は企業の生の情報を知りたがっていると推測できます。
そのため、着地点は「どんな仕事をするのか」「入社してみてどうか」といった「仕事に関する実感を得ること」が例として挙げられます。
まずはメディアの読者層が何を求めているのかを考えてみましょう。
取材対象の選定とアポ取りを行う
企画が決まったら、誰に取材するのかを決定し、取材の約束(アポイントメント)を取ります。
どんな人であれば読者が欲する情報を持っているのかを考え、取材対象を絞り込んでみましょう。
先ほどの採用メディアの例であれば、入社した感想を聞くために「2~3年前に入社した社員」などを対象にできます。
アポ取りは主にメールでおこないますが、状況に応じてSNSのダイレクトメッセージや、企業の問い合わせフォームなどから連絡することも可能です。
事前にリサーチをする
質問を作成する前に、インタビュイー(取材対象)に関する情報を集めます。
どんな人なのかをよく知らなければ深い質問をすることは難しいからです。
また、インタビュイーは多忙な中時間を取って対応してくれるので、少し調べれば出てくるような情報を質問するのは時間の浪費になります。
限られたインタビュー時間の中でなるべく濃い情報を得るために、事前調査は必須です。
具体的には、以下のような媒体を利用し、露出済みの情報をひととおりチェックします。
- インタビュイーの持っているメディアやブログ
- インタビュイーの出している書籍
- SNSで発信している情報
- その他以前のインタビューなど
質問を作成し共有する
調査した内容をもとに質問を作成します。
質問数はインタビューの時間に合わせて調整し「必ず聞くもの」「時間があれば聞くもの」に分けておきましょう。
インタビューの進行状況によっては時間が押してしまい、想定していた内容を全て聞けなくなる場合もあるからです。
また、テーマと質問は可能な限り事前にインタビュイーに共有しておきます。
質問される方も、事前に聞かれる内容が分かっていれば答えを整理できるからです。
インタビューの数日前にはメールで知らせておきましょう。
もし、取材される人の紹介者や一緒に立ち会う人がいる場合は、その方たちへの共有もしておきましょう。
たとえば、社長インタビューの場合、社長本人は「言っても構わない」と思っていることが、実は企業コンプライアンス的にダメだと法務部からNGを出されるケースもあるためです。
さらに、広報部のスタッフと共有する場合、担当者から追加の質問内容を提案されるケースもあります。
インタビュー当日は多少の脱線もOK
インタビュー当日は、事前に共有した質問に沿って話を進めていきます。
このとき、多少であれば話の流れが脱線してしまっても問題ありません。
本筋からそれたところで興味深いエピソードが聞けることもあるからです。
あまりにも話が逸れるようであれば仕切り直しは必要ですが、インタビュイーの緊張をほぐす意味でも雑談や脱線は有用。
時間超過が心配であれば、質問数に対して余裕を持って所要時間を設定しておきましょう。
取材内容のテープ起こしをする
インタビューが終わったら、インタビューの録音データを文字に起こしていきます。
というのも、音声データをいきなり記事にするのは内容の参照に時間がかかって非効率だからです。
10分程度の短い音声データであればテープ起こしをしないこともありますが、基本的にはインタビューの文章化は必要です。
なお、テープ起こしは取材担当者がおこなうこともありますが、外注が利用されることもあります。
※参考⇒ 在宅ワークのテープ起こしはどんな仕事?初心者や未経験者でもできるのか?
自分でテープ起こしするのが面倒な場合や急ぎの場合はクラウドソーシングサービスでの募集がおすすめです。
1~2時間ぐらいのインタビュー記事であれば、ケバ取り※入れても1日~2日でテープ起こししてくれる人がたくさんいるからですね。
※ケバとりとは、話の内容と関係のない相槌、たとえば「あー」「えー」「んー」といった意味のない言葉や不要箇所の削除修正する作業を指します。
起こした原稿を元に記事を執筆する
テープ起こしが完了したら、その内容に沿って記事を作成していきます。
記事作成の際は、原稿をそのまま記事にするのではなく、より読みやすくなるよう内容の整理が必要です。
具体的な記事の書き方は後程紹介します。
インタビュー取材をする際の注意点
インタビュー取材をする際、どんな点に注意すればよいのでしょうか。
この章では、インタビューの際や事前準備の際に気を付ける内容3点ご紹介します。
取材した内容はできるだけ早く記事化する
取材した内容は、なるべく早く記事にします。
インタビューをした記憶が新鮮なうちに記事にしてしまった方が、より臨場感のある内容になるからですね。
また、インタビュイーは自分のインタビューが記事になるのを楽しみにしてくれていることも多いです。
あまり待たせないよう、早めに記事を作って連絡してあげましょう。
話の流れを無理やり誘導しようとしない
インタビューでは、話の流れを無理に誘導しようとしてはいけません。
「結論ありき」の状態で、着地点に向けてあからさまに誘導すると、インタビュイーが気を悪くしてしまうことがあります。
また、インタビュイーの話した内容と異なる意図の記事になってしまう可能性もあるからです。
記事の結論が決定しているのであれば、それに合致するインタビュイーの選定や、インタビュイーと事前の打ち合わせをおこない、無理な誘導が必要ないようにしましょう。
取材対象によっては謝礼が必要な場合も
取材対象が著名人や専門家の場合、取材に謝礼が必要なこともあります。
ライターの懐から出るものではありませんが、アポイントメントを取る際に報酬の有無の記載が必要です。
取材記事を依頼された場合に謝礼について何も言われていない場合、アポ取りを行う前に確認しましょう。
後日、銀行振込が良いのか、当日現金払いが良いのかと、支払いについても確認は必須です。
もし、現金支払いの場合、新札は当然として、現金を入れる封筒もマナーに沿って用意しましょう。
※参考⇒ お金を渡すときに入れる封筒の書き方とは?封筒の種類やお札の向きも注意が必要!
WEBや電話インタビューの場合は途切れるケースも考えておく
ZoomやSkypeを利用してWEBインタビューや電話インタビューになることもあります。
インタビューしたい方が遠方の場合や新型コロナウイルスの影響から直接会うことが難しい場合などですね。
WEBや電話インタビューの場合、途中でインタビューが途切れるケースもあると、覚えておきましょう。
たとえば、インタビュー途中で急にWi-Fiが切れたり電話が切れたりといったこともあります。
他にもZoomの場合、インタビュー相手含めて立ち会う人が3人以上となる場合は有料プランに加入する必要があります。
無料プランだと3人以上の同時接続は40分までしかできないためですね。
知らずにインタビューをしていたら40分過ぎてて、強制的に会話が切断されたら悲しいですよね。
Zoomを3人以上で40分以上話す場合、全員が加入する必要はなく、オーナーとなる誰かひとりだけ有料プランにしておけばOKなので、必要な場合は準備しておきましょう。
インタビュー取材記事のレイアウトや書き方は?
インタビュー取材記事を作成する際、どのように書き進めればよいのでしょうか。
結論から言うと、基本的な記事のレイアウトや構成は、通常のWEB記事と大きな違いはありません。
詳細はこちらから確認してください。
※参考⇒ ブログ記事作成のコツ【レイアウトや企画の作り方・文章の書き方など】
この章では、インタビュー記事特有のポイントを3点紹介します。
情報の取捨選択をおこなう
インタビュー記事では、収集した情報を全て書かないといけないわけではありません。
本筋と直接関係ない雑談や、脱線して出てきた関連性の低い内容は省くこともできます。
ただ、記事の内容から考えて「読者の箸休め」になるエピソードが必要であれば盛り込んでみるのも選択肢のひとつです。
どこまで情報を入れるかは、記事の限界のボリュームや全体の流れから逆算して考えてみてください。
ストーリーに沿った記事作りを心掛ける
インタビュー記事では、ストーリーに沿った内容での記事づくりを心掛けてください。
話があちらこちらへ飛ぶと、読者の脳内で情報を整理する必要があり疲労感も増します。
「時系列順」「起承転結」など、読みやすく理解しやすい流れを意識して記事作成するのが大切です。
話し言葉は書き言葉に直す
話し言葉は書き言葉に直して書くようにします。
テープ起こしの原稿は話し言葉の記載で上がってくることも多いですが、そのまま記事にしてしまうと読みにくく冗長になりがちです。
たとえば、女性向けアパレルメーカーのインタビューで、以下のようなフレーズがあるとします。
仕事も恋愛もバリバリこなしたい、そんなお客様を応援するというコンセプトで作りました。
これでも十分に意味は通じますが、よりシンプルにまとめてみましょう。
仕事も恋も積極的なお客様を応援したい、それが新商品のテーマです。
このように、話し言葉は書き言葉に編集することでより端的に意味が伝わります。
上記以外にも、Google検索で上位表示も考えている場合、「インタビュー記事がGoogleから評価されにくい4つの理由と6つの対策方法」の記事が参考になるのでチェックしておきましょう。
インタビュー取材記事作成の相場はどれくらい?
仕事としてインタビュー取材記事の作成を受ける際、報酬の相場はどの程度なのでしょうか。
インタビュー記事作成の報酬額と、金額が変動する要素について見てみましょう。
インタビュー取材記事は1本15,000円から
インタビューの内容によって千差万別ですが、準備から執筆まで全てやる場合でおおむね1本15,000円程度からです。
WEBコンテンツの作成と比べて最低価格が高いのは「取材準備」「インタビュー」「テープ起こしやケバ取り」「編集作業」など、やることが多いからですね。
そのため、普通のライティングと比較して報酬が高くなる傾向にあります。
ライターのスキルやインタビューの内容によっては1本50,000円以上になることもありますね。
担当する作業量によって報酬は変化する
インタビュー取材の記事は、担当する作業量によって報酬が変化します。
というのも、ひとくちに「インタビュー記事」といっても、最初から最後まで1人のライターが担当しない場合もあるからです。
たとえば「企画が完成した段階で渡される」「テープ起こしと執筆は別の担当者が請け負う」「記事編集・リライト作業はまた別の業者」といったケースも見られます。
さらに、インタビュアーとは別でプロのカメラマンに依頼するケースもあります。
有名人や著名人の場合、インタビュー記事にご本人の写真画像を入れることになるためですね。
素人が適当にスマホで写真札することは、先方に対しても失礼にあたるため、プロカメラマンを別に用意するケースは多いです。
そのため著名人にインタビューする際は、カメラマンを別途準備する必要があると同時に費用もプラスでかかることも想定に入れておきましょう。
担当する作業が少ない場合は、先述の最低価格を割ることもあるので心に留めておいてください。
まとめ
ライターを始めた方の中には「インタビュー案件ってちょっと敷居が高い…」と感じている方もいるかもしれません。
確かに、対面でのインタビューが必要な分、慣れないうちは緊張から思うように進められないこともあります。
とはいえ、今回紹介した事前準備をしっかりと進めて挑めば大きな失敗をすることは少ないでしょう。
まずは基本を押さえ、少しずつ経験を積んでいってください。
