企業の中でも裏方のイメージの強い経理業務ですが、専門知識や経験が問われる重要な仕事です。
新規で従業員を採用するよりコストを下げられる「経理代行」の副業は、特に個人事業主や中小企業に需要が高い仕事となります。
今回は、経理代行の副業の仕事内容や始め方、メリット・デメリット等、分かりやすく解説していきます。
経理代行の仕事内容
会社の仕入れや販売、経費等、出入金管理など経理業務を代行する「経理代行」。
伝票整理から始まり、帳簿の作成や領収書の発行等を行っていきます。
この章では、経理代行の具体的な仕事内容や特徴を解説します。
数字を扱うことが好きな方におすすめ
経理代行は、数字を扱うことが好きな方におすすめです。
常時、会社の売上や経費を把握し、納付すべく税額などを正確に計算する必要があるからですね。
具体的には、以下の業務があります。
- 取引記録の記帳業務
- 会計帳簿のチェック
- 決算書の作成
- 税務申告書の作成(税理士のみ代行可能)
- 給与計算代行/年末調整作業
経理担当者には、会社の社長と同じ経営的視点を持つことも求められ場合もあります。
また、決算報告や税務の確定申告等には期限もあるので、きちんと締め切りを守って仕事を行う必要があります。
資格はなくても良いがあると仕事獲得しやすい
経理代行は、資格がなくてもできる仕事ですが、持っていると仕事獲得しやすいです。
会社の経理代行は、税理士や公認会計士のような国家資格は必要ありませんが、「簿記」の資格などは、現場でも活かせるからですね。
※簿記とは、会社のお金の流れを記録・計算し、会社に利益が出ているか、預貯金などの蓄えがあるかを明らかにすることです。
また、資格の有無だけでなく、業務経験が問われることも多いため、経験者のほうが優遇されますよ。
なぜなら、年末から企業の決済期が多い2月~3月などは、どこの事務所も人手が足りなくて即戦力を求められるためです。
作業日数や時間によっても変動しますが、一案件に対し1万円から3万円の報酬が相場ですね。
副業でできる経理代行の仕事の始め方と探し方
副業でできる経理代行の仕事を始めるうえでの注意点と、具体的な探し方について解説していきます。
経理の実務経験を積む
まずは、経理の実務経験を積んでいきましょう。
経理に関する副業案件の受注には、3年程の実務経験を求められるケースがほとんどだからですね。
経理の実務経験がない方は、まず転職し、経理で働くことをおすすめします。
すでに実務経験がある方は、平日の業務時間後や土日など、副業に確保できる時間を確保しましょう。
在宅ワークで副業する方は、パソコンやネット回線等の準備も考慮しておくと良いですね。
また、トラブルを避けるため、会社が副業OKなのかも事前確認しておくことをおすすめします。
資格や経験のアピールが効果的
経理代行の副業の仕事を獲得するのに、資格や経験のアピールが効果的です。
経験や実績の明記により、依頼者側が即戦力になり得るか判断しやすくなるからですね。
例えば、「決算業務に携わったことがある」「会計ソフトの入力の経験がある」といった応募案件に関わる経験や実績は具体的に明記しましょう。
経理代行の副業を探す3つの方法
副業でできる経理代行の仕事探しには、主に以下3つの方法があります。
- クラウドソーシングサービスの利用
- 経理代行の専門業者に登録する
- 求人情報サイトで探す
共通して言えることは、オンライン上でのやり取りが多くなるため、自分に合ったクライアントかどうか事前に調べておくことをおすすめします。
それではそれぞれの探し方について具体的に解説していきます。
副業案件を手軽に見つけられる「クラウドソーシングサービス」
副業案件を手軽に見つけられるのが、「クラウドソーシングサービス」です。
リモートワークや副業案件の在宅ワークを手軽に紹介してくれるサービスで、事務作業を中心に幅広い案件があるからですね。
企業だけでなく、個人がクラウドソーシングで経理代行の依頼をすることも増え、在宅や副業での経理代行が行いやすくなっています。
やや単価が低い傾向にありますが、複数のサイトに登録し、自分に合った案件選びをおすすめします。
また、クラウドソーシングで仕事を選ぶ際、初めは比較的簡単にできる案件をコツコツとこなし、サイト内の評価を上げていきましょう。
なぜなら、サービス自体の使い方に慣れることはもちろん、サイト内の評価も依頼者の重要な判断基準になるからですね。
経理代行が得意な方におすすめ「経理代行の専門業者に登録する」
経理代行が得意な方におすすめなのは、「経理代行の専門業者に登録する」方法です。
経理代行の専門業者でホームページを開設している業者に応募する方法で、定期的に仕事を請け負えるからですね。
これまでの経理経験やスキルに応じた求人案件やプロジェクトの紹介を受けられます。
「経理代行」や「記帳代行」といったキーワードで検索すると、経理代行の専門業者ホームページが出ます。
また、検索キーワードに地名を入れることで、近くの代行業者を検索できますよ。
例えば、「経理代行 名古屋」「経理代行 渋谷」といった形ですね。
「求人情報サイト」でも見つけられる
「求人情報サイト」で経理代行の仕事を見つけられます。
求人サイトの中にも請負で経理代行を募集している場合もあるからですね。
「経理代行 求人サイト」と検索することで多くのサイトが見つかるので、その中から自分に合うものを探してみると良いでしょう。
経理代行を副業でするメリット
経理代行の副業の具体的なメリットについて解説していきます。
在宅ワークでできる副業を選べば時間を有効に使える
在宅ワークでできる経理代行の副業は、時間を有効に使うことができます。
企業のオフィスや会計事務所への通勤時間がかからず、時間的にもある程度の融通がきく仕事も多いためです。
子育てや介護により固定の会社勤めが難しい方にとってはありがたいですね。
また、勤務時間が固定されていない経理代行の副業なら「早朝」「夜間」「休日」の時間を有効活用できます。
まとまった報酬が得られる
経理代行の副業は、まとまった報酬が得られます。
専門的な仕事なので報酬が高いうえ、努力次第では本業以上に稼ぐのも可能な副業だからですね。
会社の経理部員として働く場合、華々しい活躍での期待値は少なく、会社での昇給やボーナスにも限りがあります。
副業での経理代行は、自分のスキルを存分に活かせるメリットがありますよ。
副業の中で実践を積むことでのスキルアップも見込める
経理代行の副業でも実践を積み重ねることでのスキルアップも期待できます。
仕事に慣れることで、より効率的に仕事できるようになるからですね。
例えば、会社に出入りする日々のお金の流れを帳簿に記録していくだけでも学べることは多々あります。
身につけたスキルは転職などキャリアアップに活かせるのはもちろん、本業の中でも役立つことも多いです。
また、経理のプロを目指したい方は、「税理士」「会計士」「中小企業診断士」を目指し、資格取得しての仕事もおすすめです。
経理代行を副業でするデメリット
経理代行の副業ですが、デメリットもあります。
具体的なデメリットを事前に把握しておきましょう。
繁忙期がかぶりやすい
経理代行の副業は、本業と繁忙期がかぶりやすいです。
なぜなら、繁忙期と企業の決算時期の固まる時期が重なるためですね。
月次の場合は月初、年次の場合、例えば3月決算の会社であれば4〜5月になります。
経理代行の案件も特定の時期に増えることがあり、本業と繁忙期がかぶることで、引き受けられる案件に限りが出てきますね。
コンスタントに依頼が来るとは限らない
経理代行の副業の依頼は、コンスタントに来るとは限りません。
なぜなら、人手が足りないときだけの単発案件の仕事も多いからですね。
例えば、12月だけ人手が足りないからと、一ヶ月間のみクラウドソーシングサービスを利用するクライアントも居ます。
中には単発の仕事だからとやる気にならない方もいるかもしれませんが、安定した報酬を得るためには、小さな案件から実績を積み重ねていきましょう。
あなたについた口コミ評価などを元に、新たなクライアントが見つかったり、継続的ではなくてもスポット的に依頼してくれるクライアントも居ます。
また、ニーズが高まる時期は限られており、年中依頼が舞い込むわけではないのもデメリットですね。
経理代行の副業におすすめのサービス
この章では、経理代行の副業で案件を探すのにおすすめのサービスを紹介します。
幅広くサービスを利用し、自分に合う案件の獲得をおすすめします。
小規模から大規模まで総合的なサービス「クラウディア」
小規模から大規模までの総合的なサービスは、「クラウディア」です。
日本最大手のサービスで、幅広い案件と豊富な発注数が特徴のサービスだからですね。
副業初心者の方や、資格・スキルを持った方に働きやすい環境が整っており、安心安全に仕事を探せます。
対応できる業務や保有スキルのアピールしていきましょう。
クラウディアにはプロ人材としての高単価副業サービス、クラウディアPROもありますので合わせてご確認ください。
希望やスキルに合った仕事を探せる「メリービズ」
自分の希望やスキルに合わせて仕事をマッチングしてくれるサービスは、「メリービズ」です。
経理事務の委託案件に特化しているサービスだからですね。
自分に合う案件を見つけやすいので、個人で仕事を請ける方でも安心して利用できます。
登録者と案件数のバランスで申し込みできない場合もありますが、書類・実技審査に通過すれば、様々な案件を紹介してもらえますよ。
例えば、以下の案件などが挙げられます。
- 月次決算
- 給与計算
- 経費代行
- 確定申告
- 年末調整
また、在宅スタッフとして働くことも可能です。
経験やスキルを効果的にアピールできる「Workship」
企業側に効果的に経験やスキルをアピールできるサービスは、「Workship」です。
400以上になる企業案件の中から、気になるものに直接応募が可能で、機械学習により企業側に効率的に魅力をアピールできるからですね。
また、働き方も、週1〜3、リモートや土日だけ等、柔軟な働き方のできる案件が豊富なのも魅力ですね。
希望の案件を提案してくれるエージェント機能もあり、サポートも充実しています。
フリーランスに興味がある方におすすめ「Waris」
フリーランスに興味がある方におすすめのサービスが、「Waris」です。
事務系総合職の案件に強く、また、自らのビジョンに沿って、仕事のキャリアデザインが可能だからですね。
過去に経理の経験がある方におすすめで、非公開案件も多数あり、自由な働き方ができます。
自分のスキルを活かし、将来のためにフリーランスの経験をしてみたい方におすすめです。
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経理代行の副業をする際によくある質問(Q&A)
経理代行の副業をする際によくある質問(Q&A)を紹介します。
疑問、質問等がある場合は、ぜひ参考にしてみてください。
実務未経験で経理代行の副業に挑戦するにあたっては、まずは簿記3級または2級の資格取得を目指し、基礎知識を身につけることをおすすめします。
実務経験がない場合でも、資格を取ることでクライアントからの信頼を得られる可能性があるからです。
副業では、一般的に資格より実務経験が重視されます。
しかし資格があることで、実務未経験でも「知識があるのだな」「問題なく作業できそうだな」と思ってもらいやすくなります。
また「freee会計エキスパート」「マネーフォワードクラウド検定」など、各会計ソフトの操作スキルを証明できる資格の取得もおすすめです。
資格を取得するために勉強することで、経理や会計ソフトの知識が身につきますし、「きちんと理解したうえで副業できる」という自信にもなります。
基礎知識が身につき、会計ソフトの操作にも慣れたら、クラウドソーシングサービスで簡単な記帳業務などの案件に応募し、実績を積んでいきましょう。
経験が浅くても、「丁寧な作業と連絡」「納期遵守」を心がけることで、クライアントからの信頼を得られます。
なお副業として無理なく取り組めるように、最初は「簡単な案件」や「小規模な案件」を中心に応募することをおすすめします。
「領収証データの整理」など、Microsoft Excelのスキルのみで応募できるアシスタント的な案件を探してみるのもアリです。
「どの程度」という質問に対しての回答は、抽象的ですが「人に聞かなくても、問題なく業務を進められる程度」となります。
在宅での経理副業は基本的に個人事業主として請け負うことになるため、上司や先輩のように指導してくれたり、困ったときに助けてくれたりする人がいないからです。
初めての会計ソフトでも、簿記の基本を理解したうえで「公式のチュートリアル記事や動画」「市販の説明書」などを活用すれば、業務に必要な基本操作は習得可能です。
いきなり複数の会計ソフトを操作できるようになるのは難しいので、まずは主要な会計ソフトの中からひとつを選び、学んでいきましょう。
動画のような容量の大きなデータは扱わず、高負荷な処理もあまりないからですね。
おすすめのスペックを紹介します。
- OS:Windows 10以降
- CPU:Intel Core i5以上またはAMD Ryzen 5
- メモリ:8GB以上
- SSD搭載
またクラウド会計ソフトでの作業が多くなるので、インターネット環境は安定した高速回線を確保しておきましょう。
なお経理代行の副業ではMicrosoft Excelを使うことも多々あります。
またデスクトップソフトではWindowsにしか対応していない会計ソフトもあるので、MacではなくWindowsのパソコンをおすすめします。
必要なセキュリティ対策としては、以下のようなものがあります 。
- セキュリティソフト(ノートン、ESET、マカフィーなど)を導入する
- OSやソフトウェアは最新の状態にアップデートする
- Wi-Fiルーターにはパスワードを設定する
- 業務データのバックアップを取る
- 公衆Wi-Fi環境下での作業は避ける
- クライアントから預かった情報を不用意に外部へ持ち出さない
セキュリティ対策を施しておくことで、クライアントの安心感も高まります。
同じ「経理代行の副業」でも依頼内容はさまざまですし、クライアントによっては対面での面談を希望することもあるからです。
ただ実際にクラウドソーシングなどで募集されている在宅での経理代行副業では、オフライン作業が求められることはほとんどありません。
依頼される業務の多くは、「クラウド会計ソフトでの記帳代行」「伝票作成」など、オンラインで完了する仕事です。
オフライン作業に対応できないのであれば、オンラインのみで完結する案件を選んで応募しましょう。
また契約時にクライアントと「オフライン作業がないこと」や「オフライン作業には対応できないこと」を確認しておくと安心です。
多くの業務は「PDFやExcel形式での書類提出」「クラウド会計ソフトへの入力」など、オンラインでのやり取りになるからです。
例えば記帳代行などであれば、プリンターやスキャナーがなくても十分対応できます。
ただスキャナーなどがあれば、「紙の領収書や請求書をスキャンして提出する仕事」などにもスムーズに対応できるようになります。
「どんな仕事をしたいか」で、プリンターやスキャナーを導入するかどうか決めるといいでしょう。
記帳代行などは資格なしでもできますが、「確定申告書」や「税務申告書」作成の代行ができるのは税理士だけだからです 。
また帳簿管理では、正確な記帳と適切な保存が求められます。
ミスがあるとクライアントに損害を与える可能性があるからです。
「法令順守」と「ミスのない正確さ」に注意しましょう。
副業するにあたっては、「副業で知ったクライアントの機密情報や預かった個人情報を外部に漏らさない」などの守秘義務が発生しているからです。
税理士であれば「本業で得た情報を副業で活用しない」ことが、税理士法で定められています 。
「契約解除」「信用が亡くなり、新たな案件を受注できなくなる」ならまだしも、守秘義務違反の影響の大きさによっては、多額の損害賠償を求められる可能性も。
本業での信用を失い、悪質だと判断されれば解雇されることも考えられます。
本業でも副業でも、業務上知り得た機密情報・個人情報は第三者に漏らさず、データの取り扱いには細心の注意を払うことが求められます。
まとめ
経理代行の副業は、経験や専門知識が問われる需要の高い仕事です。
特別な資格がなくてもできますが、「簿記」の資格等があるとより案件獲得に有利に働きますね。
また、過去の経理の実務経験が問われやすい副業でもあるので、本業で経理をしている方にはおすすめですね。
「クラウドソーシングサービス」を利用した案件獲得が主流ですが、「求人情報サイト」や「経理代行専門業者」の利用等、幅広い方法で探し、自分に合う案件を探していきましょう。
本業と副業の相乗効果が期待でき、時間を有効活用して、報酬・スキルアップを見込めますが、専門職ゆえに評価が厳しく、継続的な実績が求められますね。
また、本業との繁忙期がかぶりやすいため、まずは小さな案件で安定した実績を積み、バランスをとっていきましょう。
将来フリーランスを目指している方も、是非最初のステップとして経理代行の副業を始めてみてはいかがでしょうか。