正社員を雇う際にかかる費用はどれくらい?必要手続きや注意点を解説

事業が軌道に乗ってくると「正社員を雇用して事業を拡大したい」「人を増やして組織化していきたい」と考える方も多いでしょう。

しかし初めて正社員を雇う際には、手続きや費用などわからないことが多いですね。

結論から言いますと、正社員1名を雇うのにかかる費用の目安は以下のとおりです。

  • 初期費用:70~100万円以上
  • ランニングコスト:基本給の1.5倍~2倍

この記事では「正社員の雇用に必要な費用や手続き」「正社員ほどコストをかけずに人手を増やす方法」を紹介します。

最後まで読んでいただければ、初めて正社員を雇う際の疑問点がスッキリ解決します。

正社員を雇う際にかかる費用はどれくらい?

正社員を雇う際には、大きく分けて以下の2つの費用がかかります。

  • 初期費用:採用・雇入れ時にかかるコスト
  • ランニングコスト:雇用中ずっとかかる費用

それぞれの内容や費用目安を紹介していくので参考にしてみてください。

初期費用は「採用コスト」と「備品の準備費」

初期費用は大きく「採用コスト」と「備品の準備費」にわかれます。

それぞれの目安を紹介します。

採用コストは1人あたり70~100万円程度

採用コストの目安は1人あたり70~100万円程度です。

採用活動にあたっては「求人サイト」「人材紹介会社」などの外部サービスを利用することが多く、外注費がかかるからです。

求人サイトと人材紹介サービスの費用目安をまとめました。

費用の種類 費用の目安
求人サイトへの広告掲載 20~120万円
※「利用サイト」「掲載期間」「利用オプション」による
人材紹介会社 内定通知書に記載する年収の20~35%

また外部サービスにかかる費用とは別に、「合同就職・転職説明会に出展する際の交通費」「面接官の人件費」などもかかります。

なお採用コストには以下のような傾向があります。

  • 中途採用のほうが新卒採用よりも1人あたりのコストが高い
  • 少人数採用であるほど、1人あたりのコストが高い

また採用コストを下げたい場合には、以下のような方法が有効です。

  • SNSを使って採用活動する
  • コネで採用する
  • ハローワークに求人を掲載する
  • 事業所や店舗にチラシを貼る

ただし上記のような方法では「多数の応募は見込めない」「優秀な人材を多く集めるのは難しい」といったデメリットがあることも理解しておきましょう。

備品準備費は業種・職場環境によって異なる

「備品の準備費」は、業種や職場環境によって大きく異なります。

職場によって「業務で使うツール」や「制服の有無」が違ってくるからですね。

例えばデザイナー職を雇うのであれば、以下のようなものが必要になるでしょう。

  • デスクセット(4~10万円)
  • 高スペックなパソコン(15~20万円)
  • デザインソフト(5~10万円)

また制服のある事務職を雇うなら、パソコンやデスクセットのほか、「制服」や「更衣用ロッカー」なども必要になるはずです。

他にも次のような準備が必要なケースも出てくることでしょう。

  • 電話機を増台する
  • 休憩室を新たに整備する
  • 社員証や名刺をつくる
  • 事務所の合鍵を準備する

また備品ではありませんが、雇入れの際に入社時研修を行うなら、教育・研修費用も必要となってきます。

必要なものに応じて予算を組んでおきましょう。

正社員雇用のランニングコストは基本給の1.5~2倍程度

正社員を雇う際のランニングコストは、基本給の1.5~2倍程度です。

正社員を雇用するにあたっては、基本給のほかに以下のようなコストが発生するからですね。

  • 残業代
  • 賞与(ボーナス)
  • 福利厚生費(通勤手当・住宅手当・社員旅行積立など)
  • 教育・研修費用
  • 社会保険料(健康保険・介護保険料・厚生年金保険料)
  • 労働保険料(労災保険料・雇用保険料)
  • 税金(子ども・子育て拠出金)

例えば小売業で「基本給18万円+通勤手当2万円」「年間のボーナスが4ヶ月分」の正社員(39歳以下)を雇った場合には、年間コストは350~360万円程度になります。

年間コストの内訳は以下のとおりです。

ランニングコスト内訳 金額(事業主負担分)
基本給 (基本給18万円+手当2万円)×12ヶ月=240万円
残業代 なし(残業0時間)
ボーナス 基本給18万円×4ヶ月分=72万円
教育・研修費用 年間2万円
健康保険料
※東京・協会けんぽの場合
月収20万円×4.905%×12ヶ月=117,720円
厚生年金保険料 月収20万円×9.15%×12ヶ月=219,630円
労災保険料 年収312万円×0.6%=18,720円
雇用保険料 年収312万円×0.3%=9,360円
子ども・子育て拠出金 月収200,000円×0.36%×12ヶ月=8,640円

※2022年10月時点

トータルコストに影響を及ぼす主な要素は以下のとおりです。

  • 年度
  • 都道府県
  • 従業員の年齢(40歳以上なら介護保険料の支払いも発生)
  • 福利厚生の充実度
  • 職場までの交通費(交通費がかかるほど通勤手当も増える)
  • 残業の有無・時間数

正確な数字については、業種や採用予定者の状況に合わせてシミュレーションしてみてください。

正社員を雇う際のコストを下げる方法

正社員を雇う際のコストを抑える方法は、主に以下の3つです。

  • 残業を減らす
  • 社員にコスト意識をもってもらう
  • 助成金を活用する

順番に解説していくので参考にしてみてください。

残業を減らす

まずはできるだけ残業を減らしましょう。

残業代が減ると、雇用主・会社側にとって大きな負担源になるからです。

残業代は以下のように割増で支払う必要があるので、残業が増えるほど人件費はかさみます。

残業の種類 割増率※
時間外労働(法定労働時間超) 1.25倍
法定休日労働 1.35倍
深夜労働 1.25倍
時間外+深夜 1.5倍
法定休日+深夜 1.6倍

※基準となるのは基本給を時給換算した額

そのため「漠然と残業や休日出勤をしない」「仕事のマニュアル化・効率化を進める」などの工夫をしましょう。

残業や休日出勤が少なくプライベートも充実させられる職場なら、従業員の満足度も高まるはずです。

週1日「ノー残業デー」を設けている企業もありますね。

ただ画一的に残業を禁止すると、突発的なトラブルが起きたときに対応できなかったり、急ぎの仕事が間に合わなくなったりする可能性も出てくるので注意が必要です。

実際には職場ごとに柔軟な運用が求められるでしょう。

社員にコスト意識をもってもらう

「社員にコスト意識を持ってもらうこと」も重要です。

社員一人ひとりのコスト意識が、コストダウンのための重要な要素だからです。

正社員でも、経営者に比べるとコスト意識は低くなります。

そのため「備品・消耗品費」「光熱費」「残業代」などを意識してもらうことで、効率的な業務運営が可能になるでしょう。

助成金を活用する

雇用関係の助成金を活用する方法もあります。

新たに従業員を雇う場合、条件を満たすと国(厚生労働省)や自治体から助成金をもらえる制度があるからです。

助成金にはさまざまな種類があります。

  • 子育てで離職した女性やフリーターを雇うときに受け取れるもの
  • 中高年・シニア層を雇うときに受け取れるもの

助成金の種類や申請・相談方法は厚生労働省の「雇用関係助成金検索ツール」で確認できるので、ぜひ一度チェックしてみてください。

正社員を雇う際に必要な手続きの流れ

正社員を雇い入れる際の公的手続きの一連の流れは以下のとおりです。

  1. 労働条件の通知
  2. 社員から必要書類を提出してもらう
  3. 社会保険・労働保険の手続き
  4. 「給与支払事務所等の開設届出書」の提出
  5. 法定三帳簿を準備する

順に解説します。

1.労働条件の通知

従業員を雇う場合は、まず労働条件を通知します。

従業員の雇用形態が正社員であれアルバイトであれ、労働条件を通知するよう決まっているからですね。

とくに重要とされる以下の項目(正社員の場合)は、書面で通知するよう定められています。

  • 労働契約の期間
  • 労働期間に定めがある場合は、契約更新についてのルール
  • 勤務場所、仕事内容
  • 始業時間、終業時間
  • 残業の有無
  • 休憩時間
  • 休日・休暇
  • 交替制勤務のローテーション
  • 賃金の決定・計算方法、支払い方法、締め日と支払日
  • 退職時のルール

なお労働契約法では、従業員が安心して勤務開始できるよう、上記以外の労働条件についてもできるだけ書面で通知することが望ましいとされています。

例えば以下のような項目ですね。

  • 昇給のルール
  • 退職金について
  • 賞与やボーナスについて
  • 従業員に負担させる「食費」「作業用品」などについて
  • 安全衛生について
  • 職業訓練について
  • 災害補償や業務外の傷病扶助について
  • 表彰について
  • 休職について

情報管理・秘密保持の観点から、NDA(秘密保持契約)を交わしておくのもおすすめです。

なお実務では「労働条件通知書」と「雇用契約書」をまとめて、「労働条件通知書兼雇用契約書」を作成するケースが多いです。

法律上、雇用契約は口約束でも成立するため、「雇用契約書」を作成する必要はありません。

しかし採用後のトラブルなどを防ぐため、労働条件通知書と雇用契約書を一緒に作成するケースが多くなっています。

「労働条件通知書兼雇用契約書」のテンプレートはインターネットで探せますので、自分で作るのが難しい人はネットで探してみてください。

2.社員から必要書類を提出してもらう

入社時には、従業員から必要書類を提出してもらう必要があります。

「税金・年金の手続き」や「通勤手当の計算」「給与の支払い手続き」に使うためです。

代表的な必要書類を紹介します。

  • 住民票記載事項証明書(住民票は不可)
  • 健康診断書(雇入れ時の健康診断を省略する場合)
  • 身元保証書
  • 源泉徴収票(前職で給与収入がある場合)
  • マイナンバーカードまたはマイナンバーカード通知カード
  • 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書
  • 健康保険被扶養者(異動)届
  • 年金手帳・基礎年金番号通知書(被扶養者分も必要)
  • 雇用保険被保険者証(以前雇用保険に加入していた場合)
  • 通勤手当申請書
  • 口座振込依頼書

新卒入社の場合は「卒業証明書・成績証明書」を提出してもらうことも多いですね。

なお上記のうち「雇用保険被保険者証」は、「重要性を知らず、破棄・紛失してしまった」という人も多い書類です。

紛失した場合はハローワークで再交付してもらうよう、本人に伝えてください。

3.社会保険・労働保険の手続き

従業員を雇ったら、社会保険・労働保険の手続きをします。

加入条件を満たしている労働者については、もれなく以下の保険に加入しなくてはならないからです。

  • 社会保険:健康保険・介護保険、厚生年金保険
  • 労働保険:雇用保険、労災保険

正社員雇用を前提に、各保険の加入条件や手続き方法を表にまとめました。

保険の種類 加入対象 手続方法
労災保険 1人でも従業員を雇ったら加入 労働基準監督署に「労働保険関係成立届」「労働保険概算保険料申告書」を提出
雇用保険 1週間20時間以上働き、かつ31日以上継続して雇用される見込みのある従業員 ハローワークに「雇用保険適用事業所設置届」「雇用保険被保険者資格取得届」を提出
社会保険 ・法人の従業員
・従業員5名以上の個人事業所の従業員(一部業種除く)
年金事務所または事務センターに「新規適用届」「被保険者資格取得届」「被扶養者(異動)届」を提出

「公的な手続きはややこしくて、ミスなくできるか自信がない」「自分で準備や手続きをする時間がない」という場合は、社会保険労務士に手続きの代行を依頼するのがおすすめです。

4.「給与支払事務所等の開設届出書」の提出

はじめて従業員を雇う場合は、税務署に「給与支払事務所等の開設届出書」を提出します。

事業主が従業員の給料から税金を徴収して税務署に納める「源泉徴収」の手続きに必要だからです。

給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書」は、初めて従業員を雇用してから1ヶ月以内に税務署へ提出します。

創業・新規開業時に書類を提出している場合は手続き不要です。

なお源泉徴収した税金は本来毎月納付しますが、「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」を提出しておけば、まとめて年2回(7月と1月)の納付でOK。

従業員雇用にかかる事務処理を減らしたいなら、「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」も提出しておきましょう。

5.法定三帳簿を準備する

正社員に限らず従業員を雇ったら、いわゆる「法定三帳簿」も用意します。

法廷三帳簿は労務管理に必要な書類で、従業員退職後も3年間(5年間に延長予定)は保管しなくてはならないからです。

法定三帳簿は以下のとおりです。

帳簿の種類 内容
賃金台帳
  • 労働者氏名
  • 性別
  • 賃金の計算期間
  • 労働日数
  • 労働時間数
  • 時間外労働時間数
  • 深夜労働時間数
  • 休日労働時間数
  • 基本給・手当などの種類と金額
  • 控除項目と金額
労働者名簿
  • 労働者氏名
  • 生年月日
  • 履歴
  • 性別
  • 住所
  • 従事する業務の種類
  • 雇入年月日
  • 退職または死亡年月日
  • 退職の理由・原因
出勤簿等
  • 出勤簿・タイムカードの記録
  • 使用者(雇用主・会社)が自ら始業・終業時間を記録した書類
  • 残業命令書と報告書
  • 労働者(従業員)が記録した労働時間報告書

帳簿のテンプレートは厚生労働省のサイトからダウンロード可能です。

正社員だけではなくすべての従業員について、もれなく整えておきましょう。

正社員を雇う際の注意点

正社員を雇う際の主な注意点は以下のとおりです。

  • 36協定を締結する
  • 就業規則をつくる
  • 労務管理のルールを整備する
  • 社員にコスト意識をもってもらう

順番に解説します。

36協定を締結する

正社員を雇用する場合には、いわゆる36(さぶろく)協定を締結しておきましょう。

従業員に残業してもらうなら、36協定(時間外労働・休日労働に関する協定届)が必要だからですね。

具体的には労働時間が法定労働時間(1日8時間、1週間40時間)を超える場合には、36協定が必要です。

36協定なしで従業員に残業させると、労働基準法違反となるので注意してください。

テンプレートは厚生労働省のサイトでダウンロードできますので、必ず対象となる地域の労働基準監督署に書類を提出しましょう。

就業規則をつくる

従業員を雇ったら、就業規則もつくりましょう。

「会社を管理する」「従業員にルールを守ってもらう」ために役立つからです。

常時従業員10名以上を雇用する会社の場合は、労働基準法により就業規則作成が義務付けられています。

就業規則に必ず記載する項目は以下のとおりです。

  • 始業時刻、終業時刻
  • 休憩時間
  • 休日・休暇
  • 交替制勤務についての事項
  • 賃金について
  • 退職について

なお就業規則の作成や変更にあたっては、従業員の意見も聴く必要があると定められています(労働基準法)。

10名未満なら就業規則作成は法律上必要ありませんが、「今後の会社運営」「自分・家族以外の人が同じ事業所で働くこと」を考えると、作成しておいたほうがいいでしょう。

職場のルールを整備する

従業員を雇うなら、職場のルールも整備しておきましょう。

大枠は就業規則や労働条件通知書で明文化しますが、細かいルール・手順も決めておいたほうが雇用主・従業員ともにラクだからです。

細かいルールや手順を従業員側のマナーに任せていると、雇用主と従業員の間で意識のズレがあったときにトラブルになりかねません。

例えば以下のような内容を決めておくといいですね。

  • 遅刻時の連絡方法
  • 休日の申請方法
  • 残業の命令・申請の流れ
  • 制服・作業服・身だしなみについてのルール

なお髪型・服装については基本的に本人の自由なので、雇用主が一方的に「茶髪・ひげ禁止」「ピアスはNG」などと決めてはいけません。

ルールを設ける際には「安全のため」「不潔に見えると顧客に不快感を与える」などの合理的な理由が必要なので注意しましょう。

正社員を雇うメリット

正社員を雇うメリットは以下のとおりです。

  • 責任ある仕事を任せられる
  • 長期的に人材育成できる

順に紹介します。

責任ある仕事を任せやすい

正社員を雇うメリットのひとつめは、雇った人材に責任ある仕事を任せやすいことでしょう。

正社員は「常勤」かつ「長期的な雇用・就労が前提」だからですね。

また正社員は部署異動しながら幅広いスキル・知識を身につけられるため、緊急時にも頼もしいです。

正社員を雇用することで、経営者や幹部だけに業務が集中することなく、スムーズに仕事を回すことも可能になります。

「会社をもっと大きくしていきたい」「経営者である自分の右腕になってくれるような人材がほしい」と感じているなら、正社員を雇用するメリットは大きいのではないでしょうか。

長期的な視点で人材育成できる

正社員を雇用するメリットとしては、長期的な視点をもっての人材育成が可能な部分も挙げられます。

長期雇用前提なため、じっくりと年数をかけてスキルやノウハウを身につけてもらえることも視野に含めているからです。

一方派遣社員だと3年以内に職場を離れてしまいますし、アルバイトも長期的に働いてくれるとは限りません。

経営ノウハウなどをしっかり教え、組織としても成長していきたいなら、正社員雇用を検討するのが望ましいといえるのではないでしょうか。

正社員を雇うデメリット

正社員を雇うデメリットも紹介します。

  • 人件費が高くなりやすい
  • 簡単に解雇できない

順に紹介します。

人件費が高くなりやすい

正社員を雇うデメリットは、人件費が高くなりやすいことです。

すべてに当てはまるわけではありませんが、非正規雇用や外注依頼に比べ基本給が高いケースは少なくありません。

あわせて雇用保険や社会保険料といったランニングコストもあります。

さらに教育面でセミナーや講習を受けてもらったりするのであれば、そのぶんの費用も上乗せされます。

また求人募集時かかる「求人サイトへの広告掲載料」「人材紹介会社への手数料」なども、アルバイト採用に比べかなり高い設定となっています。

非正規雇用や外注に比べ、コストがかさみやすい点は覚悟しておきましょう。

簡単に解雇できない

正社員のデメリットとしては「簡単に解雇できない」ことも挙げられます。

労働者保護のため、解雇にあたっては厳しい条件を満たす必要があるからです。

「本人の能力が期待するレベルにない」「会社の経営が少し厳しい」といった場合でも、簡単には解雇できません。

基本的には「一度雇用したら長期的に雇う必要がある」と考えておきましょう。

正社員を雇う以外の選択肢

正社員を雇うと高い初期費用・維持費が必要で、仕事を教える時間や手間もかかります。

そのため「人手は欲しいが、正社員を雇う余裕がない」と考える個人事業主や中小企業もあるでしょう。

上記のような場合の選択肢を紹介します。

クラウドソーシングを利用する

クラウドソーシングは「仕事を外注したいクライアント」と「仕事を受注したいワーカー」をつなぐサービスです。

正社員を雇う余裕はないけれど人手を増やしたい場合には、クラウドソーシングがおすすめ。

たとえば、Craudia(クラウディア)も代表的サービスのひとつです。

クラウドソーシングを通じて業務を外注すれば、「社会保険料」などの負担がないため、費用がかなり安く済むからです。

外注なので、雇入れ時の公的手続きに煩わされる心配もありません。

またクラウドソーシングには以下のようなメリットもあります。

  • 業務が忙しい時期だけ依頼できる
  • 各分野のプロに依頼できるので教育の手間がない
  • 登録・利用には初期費用がかからない
  • 発注までスピーディ

「採用活動している暇がない」「教育に時間を割けない」など、時間的な面で正社員採用を迷っている方にもおすすめです。

【公式】https://www.craudia.com/

オンラインアシスタントを利用する

オンラインアシスタントは、オンラインで業務サポートを提供してくれるサービスです。

アシスタントとなってくれるスタッフは主に在宅で勤務しています。

正社員を雇用できない場合には、オンラインアシスタントもおすすめ。

経験豊富なスタッフがチームを組んで、「経理」「総務」「営業事務」などをサポートしてくれるからですね。

誰か一人が休んでも他のチームメンバーに仕事を任せられる点は、クラウドソーシングやアルバイトにはないメリットです。

クラウドソーシングと同じ外注なので、「教育・研修費用」「社会保険料」などがかからず、正社員の雇入れにともなう事務手続きもありません。

ただ以下の点はデメリットです。

  • 時給換算するとアルバイトより費用が高め
  • 最低利用期間が決まっている会社も多い
  • 業務開始前に打ち合わせが必要

「クラウドソーシングよりはやや柔軟性に欠ける」という印象でしょうか。

オンラインアシスタント会社によって「経理に特化している」「WEB系業務も得意」などの特徴がありますので、特徴やメリットを比較検討してから依頼しましょう。

派遣社員に来てもらう

派遣社員を利用する方法もあります。

「オンラインではなくオフィスで勤務してもらいたい」という場合、クラウドソーシングやオンラインアシスタントは利用しにくいからですね。

派遣社員であればオフィスに出勤してもらい、直接指示しながら仕事できます。

また社会保険料などは派遣会社が負担するので、当然正社員を雇うよりコストは少なくなります。

派遣会社によっては教育・研修制度を整えているので、自社で教育する手間も少なく、勤務開始から即戦力になってもらえるでしょう。

ただ契約書に記載のない業務はさせられないため、契約書の内容次第では「今すぐやってもらいたい仕事があるのに頼めない」と不便さを感じてしまうかもしれません。

「オフィスに来てもらう必要があるのか」「お願いする業務範囲を限定できるのか」を考慮して、利用を検討しましょう。

アルバイトを雇う

正社員ではなくアルバイトを雇う方法もあります。

アルバイトも正社員と同じく直接雇用ですが、正社員に比べるとかなり雇用のコストが減るからです。

例えば勤務時間・日数が少なく条件を満たさないアルバイトであれば、厚生年金や健康保険の加入義務がなく、雇用主の負担もなくなります。

ただし労災保険の手続きや、法定三帳簿の準備などは必要となります。

ちなみにアルバイトでも厚生年金・健康保険の加入義務が生じる条件は以下のとおりです。

  • 1日または1週間の労働時間が正社員の3/4以上
  • 1ヶ月の労働日数が正社員の3/4以上

直接雇用したいが正社員を雇えない場合には、アルバイトの雇用を検討してみましょう。

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