- 副業を始めたけれど経費は落とせるの?
- 副業でも確定申告は必要?
- 何が経費で落とせるの?
副業を始めたい、始めたけれど経費についてよくわからないという人も多いのではないでしょうか。
結論から言うと、副業でも経費は使えます。
なぜなら、副業で得る所得の多くが「事業所得」や「雑所得」に分類され、これらの所得は経費を計上できることになっているからです。
そこで今回は、
- 経費が使える所得
- 副業で確定申告が必要な場合
- 経費にできるもの、できないもの
などについて紹介していきます。
この記事を読めば、副業の経費を上手に計上できるようになり、節税もできるようになりますよ。
目次
副業でも経費は使える
副業でも経費は使えます。
理由は上記で述べたとおり、副業で得る所得の多くが経費を計上できる所得分類だからですね。
経費とは収入を得るために必要となった出費のことをさします。
例えば、副業をするためにパソコンを買った場合などは、パソコン代を経費として落とすことができます。
しかし、ひとえに経費と言っても、経費として計上できるものとできないものがあります。
経費を落とすことができる所得の分類が決まっているからですね。
経費を計上できる所得は次の3つとなります。
- ●事業所得
- 農業や漁業、製造業、サービス業など営んでいる事業から生ずる所得のことをいいます。事業所得として認められると青色申告ができますが、認められるためにはいくつかの条件があります。
- ●不動産所得
- 所有する賃貸物件の家賃や、駐車場の運営、自分の土地にある看板使用料などから得られる収入のことをいいます。賃貸物件や駐車場の規模によっては控除額が大きい事業所得として認められます。
- ●雑所得
- 所得税法では雑所得を含め10つの所得に分類されていますが、雑所得以外の9つの分類に属さない所得のすべてを「雑所得」としています。ネットオークションやFX、クラウドソーシングや内職で得た収入などが雑所得に分類されます。事業所得と雑所得には明確な区切りはありませんが、事業所得の方がメリットが大きく、雑所得は白色申告となります。
上記の所得以外は経費を計上することができません。
例えば、サラリーマンやパートなどの給与所得は、たとえ仕事のために使う文房具やパソコンを買ったとしても経費を計上できないということになります。
副業でも確定申告は必要
と思う人もいると思いますが、副業でも収入が一定額を超えると確定申告をしなければいけません。
なぜなら、所得がある人は原則確定申告をしなければいけなく、確定申告をすることは法律上の義務となっているからです。
ただし、正社員が副業した場合とパート主婦が副業をした場合では確定申告をしなければいけない条件が違います。
正社員が副業した場合
サラリーマンなど正社員で働いている人が副業をした場合、副業の所得が20万円を超えると確定申告が必要となります。
会社で年末調整を行ってくれている人は、給与所得以外の所得が20万円以下であれば確定申告の必要はないと定められているからです。
ここで注意してほしいのは
ということです。
アルバイトやパートでは「給与」として報酬を受け取ります。
この際の「給与所得」は経費を計上できないので、受け取ったそのままの収入が20万円を超えるかで判断します。
しかし、クラウドソーシングなどの業務委託やフリーランスで副業をした場合では、収入から仕事に使った経費を引くことができます。
例えば、パソコンを使ったクラウドソーシングで年間30万円の収入があったとしても、電気代や通信費、その他必要となった経費が年間12万円あったとしたら、
となるので確定申告は必要ありません。
パート主婦が副業をした場合
パートで給与所得があり、夫の扶養に入っている主婦がネットショップでものを売ったり、クラウドソーシングなどで副業をした場合は、本業と副業の年間合計所得が103万円を超えたときは確定申告が必要となります。
なぜなら、年間所得が103万円を超えてしまうと、夫の扶養から外れてしまうからです。
夫の扶養に入っている主婦には、給与所得控除65万円と配偶者控除38万円の計103万円の控除が適用されます。
例えば、
103万円-80万円=23万円
となり、副業の所得が23万円以内であれば確定申告の必要はありません。
ただし、本業の年間給与所得が65万円に満たない場合は注意が必要です。
例えば、
60万円-65万円(給与所得控除)=△5万円
となり、給与所得はなかったものとみなされ、配偶者控除の38万円のみ適用となります。
そのため、副業の所得が38万円を超えると確定申告が必要となります。
パートの収入だけなら確定申告の必要がなくても、副業で働きすぎてしまうと申告をしなくてはいけなくなります。
副業の所得が赤字だった場合は確定申告は不要
副業の所得が赤字だった場合には確定申告をする必要はありません。
なぜなら、所得が20万円を超えなければ確定申告をしなくてもいいからですね。
例えば、売上が50万円あったとしても経費に60万かかってしまえば収益は赤字となり、所得も0円とみなされるので確定申告は不要となります。
ただし、副業の所得が事業所得として認められている場合は、赤字の分を本業の給与所得から控除することできるため、確定申告をすると給与所得で引かれていた所得税が還付されます。
つまり、副業が事業所得の場合は、赤字でも確定申告をすることで税金が還付され、結果節税することができるということですね。
副業で経費にできるもの・できないもの
経費にできるもの
経費に計上できるものは次のようになります。
- 販売する商品の仕入れにかかった費用
- 広告料
- 接待交際費
- コピー用紙やインク代
- インターネットなどの通信費や電気代
- 10万円未満のパソコン購入代
- 仕事のために使った交通費
など
ただし、上記の中でも100%経費にできるものとできないものがあります。
例えば、インターネットや電気代など仕事以外でも使用するときは、仕事に使う分の割合を出して計上します。
副業でパソコンを使っている人も多いと思いますが、パソコン代を経費として計上するときは、雑所得(白色申告)であれば10万円未満、事業所得(青色申告)であれば30万円未満であれば一括計上することができます。
経費にできないもの
- 健康診断の費用
- プライベートでも使うもの(※特に服飾品はプライベートでも使う可能性があるため、経費として認められる可能性は低いです。)
服飾品の中でも気をつけなければいけないのが「スーツ」や「ジャケット」ですね。
結論から言うと、「100%仕事上の使用目的で購入したスーツ」であったとしても、残念ながら経費としては落とせません。
なぜなら、過去に裁判で争った結果、スーツ、クリーニング代、散髪代で裁判になった末、経費として認められなかったからです。
※参考⇒ 昭和49年5月30日京都地裁 昭和41年(行ウ)第10号
そのため、大体どの税理士に相談したとしても「スーツは経費で落とせない」と言われてしまいます。
他にも経費にできると思っても認められないことがあります。判断に迷うときは、税務署や税理士に相談するようにしてください。
副業で使った車関連の費用は経費で落とせる
副業で車を使う人も多いと思いますが、車関連の費用も経費で落とすことができます。
経費にできる費用は
- ガソリン代
- 車検や定期点検などのメンテナンス代
- 重量税などを支払ったときの手数料
- 副業用で購入した車の購入費用
などです。
車を使うときには任意保険に入る人がほとんどだと思いますが、個人事業主の場合、任意保険料は計上できません。
また、今まで使っていた車を副業でも使う場合は、ガソリン代、メンテナンス代などを自家用と事業用の使用割合に応じて計算し経費として計上します。
家族や友人のお手伝いに対してお金を払う場合の人件費
「副業の売上伸びてきて、手が足りないから手伝ってもらえないかな?」
はじめは軽いバイト感覚でやっていた副業の売上や収益が伸び、人手が足りないことから身近な家族や友人に仕事のお手伝いをお願いすることは多々あります。
例えば、以下のようなケースです。
- 副業のネットショップの申し込みが増えて配送作業に手が回らなくなった
- ブログのアクセス数が急激に伸びて、記事数をもっと増やしたいけど自分ひとりではいまが限界
- ユーチューバーをやっていたら人気が出たから動画編集やアップロードだけでも誰かに任せられないか?
「それだけ稼ぎがあるなら独立すればいいのでは?」「求人サイトで人を雇えばいいのでは?」と思う方もいるかもしれません。
しかし、家族や子供、将来のことを考えると「ずっと稼ぎ続けられるかどうかの状態での独立」は正直不安で難しいうえ、人を雇うとしても重要部分をいきなり赤の他人に任せることには抵抗ある方のほうが多いのではないでしょうか。
そのため、身近な家族や友人にお手伝いをお願いする人は決して少なくありません。
前置きが長くなりましたが結論を言うと、家族や友人のお手伝いに対しても人件費として経費で落とすことはできます。
ただし、仕事の取引があったことを証明するための書類は必要です。
- 業務請負契約書
- 見積書
- 納品書
- 請求書
チャットやメールだけで終わらせてしまう人もいますが、それでは取引相手として認められず、人件費として認めてもらえません。
中でも、友人間のトラブルを防ぐためにも業務請負契約書を交わすことは大切です。
信頼している友人だからと、何も決めず一緒にビジネスをスタートしてトラブルになることもあるので面倒だとは思いますが、契約はちゃんとしておきましょう。
友人以外に依頼するとしても、やはり契約書は必要となるため、誰かに手伝ってもらうつもりなのであれば作成しておきましょう。
行政書士や司法書士に依頼すれば数万円で作成してもらえますよ。
もし、書類作成や契約を結ぶ事自体が面倒だと考えるのであれば、クラウドソーシングで誰かに仕事依頼するのはおすすめです。
なぜなら、手数料は取られますが、クラウドソーシングサイトが仲介してくれることから、契約書どころかお互い匿名のまま仕事を進めることもできるからですね。
※参考⇒ クラウドソーシングCraudia(クラウディア)公式サイトを確認する
経費にする最大のメリットは節税できること
と疑問に持つ人もいるのではないでしょうか。
経費を計上するメリットは節税することができることです。
なぜなら、利益が大きいほど支払う税金の額も大きくなっていきますが、経費を引くことで利益が少なくなり、結果支払う税金が少なくなるからです。
例えば、10万円の売上に対し5%の税金がかかるとします。
経費を全く計上しなかったときの税金の額は
となります。
それに対し、1万円の経費を計上したときの税金の額は
となります。
このように、経費で落とせるものはできるだけ落としたほうが納税額が少なくなり節税することができるのがわかりますね。
ただし、経費で落とせないものを計上していた場合、脱税を疑われてしまうことがあるので注意が必要です。
副業で経費を計上するのに必要なもの
経費として支出した証拠となる領収書やレシートなどが必要となります。
なぜなら、確定申告をするときに税務署の人に架空の経費でないことを客観的に判断してもらうためです。
副業で使うものを購入したときには、確定申告の手続がスムーズにできるように領収書やレシートを月ごとにまとめて保存しておくようにしましょう。
また、他のものと一緒に1枚のレシートに記載されていたときは、経費で落としたいものに線などを引いておくと後で見直したときにわかりやすいです。
領収書やレシートが発行できないときでも
- 支払日
- 支払いをした人
- 支払った金額
- 支払いを受けた店(人)
- 支払い理由(但し書き)
が記載されているものであれば領収書として使用することができます。
さらに、自宅で副業をしていた場合は、家賃や光熱費を仕事に使った分の割合(家事按分)だけ経費として計上することができます。
光熱費を経費計上するときには、ガスや電気などの領収書に家事按分した割合を書いておくようにしましょう。
下記の書類は領収書の代わりとなります。必要な書類は確定申告の時まで大切に保管しておくようにしましょう。
- クレジットカードの利用明細・請求書
- 銀行の通帳や振込・払込受領書
- 通信販売を利用したときの確認メールや取引画面の画像を印刷したもの
- 冠婚葬祭で使った場合は、香典やご祝儀袋の表書きや招待状をコピーしたもの、香典返しのお礼状
どうしても領収書がでない支出があったときには、出金伝票に金額や何のために使ったお金なのかを記載しておくようにしましょう。
確定申告に使用した書類には保管義務があります。
青色申告をした人は決算日から7年間、白色申告をした人は決算日から5年間は保管するようにしてください。
クレジットカードは仕事用とプライベート用で分けて2枚持つのがおすすめ
クレジットカードは仕事用とプライベート用で2枚分けて持つことをおすすめします。
主な理由は以下2点です。
- 経費計算や管理がラク
- 税務調査が来た場合にきちんと対応できる
まず、経費計算や管理がラクな理由については、仕事とプライベートで明細が分かれていることで、「どれが仕事でどれがプライベートだっけ?」と迷うことがありません。
ただ、クレジットカードを使いこなしている人ほど、
- 「ポイントやマイルが一番お得なクレジットカードのみ使いたい」
- 「2枚も持つのが面倒くさい」
- 「カードの年間手数料が倍になるからイヤ」
など、抵抗感がある人もいると思います。
しかし、問題なのは2つ目の「税務調査が来た場合にきちんと対応できる」ことが大切です。
クレジットカードを分けてあると、「経費なのかプライベートなのか?」と、どっちとも言えないような場合でも税務署員にも「Aのカードは仕事用で、Bのカードはプライベート用です」と説明できるし、納得してもらえやすいです。
確実に納得してもらえるとは残念ながら言い切れませんが、分けていないよりは納得してもらえやすくはなるでしょう。
念の為に言っておくと、明らかにプライベート用なのにビジネス用カードで支払えば全部経費で落とせるといった話ではありません。
明らかな脱税行為となるため注意してくださいね。
副業の経費はいくらまで認められるのか
経費として落とせる金額には上限がありません。
なぜならば、副業をするためにかかった費用は、金額に関係なく必要経費として計上できるからです。
例えば、売上が100万円、必要経費が150万円かかったとしても、150万円まるまる経費として計上することができます。
ただし、パソコンやコピー機などの備品は、1組につき10万円未満でなければ一括計上することができません。(青色申告は30万円未満)
10万円以上の備品を購入した場合は、何年かに分けて減価償却費として経費計上していきます。
まとめ
副業でも所得によっては確定申告が必要であり、経費も使えることがわかりました。
しかし、経費に計上できるもの、できないものがあります。
脱税を疑われないためにも経費にできるかわからないときは、税務署などに相談することをおすすめします。
副業をしている人にとって、経費で落とせるのはメリットが大きいです。
そのため、領収書やレシートは大切に保存しておくようにしましょう。
できるだけ節税をして、少しでも副業の所得が増えればいいですね。