- 「ユーザーや市場のニーズを調べる」
- 「自社ブランドの認知を知るため」
- 「効果的な広告デザインのABテスト」
といった理由で、アンケート調査を実施したいと考えている企業も多いでしょう。
しかし初めてのアンケート調査だと「どのように実施したらいいのか」「どの外注先に任せればいいのか」など、わからないことも多いと思います。
結論から言いますと、「任せたい工程」「予算」などによって、おすすめできる依頼先は変わります。
- コストを抑えるなら「クラウドソーシングサービス」
- 来場型・郵送型アンケート調査をしたいなら「リサーチ会社」
この記事では上記2つがなぜおすすめなのかとあわせて、「アンケート調査におすすめの外注先」「依頼方法」「費用相場」「依頼時のコツ」について解説。
記事を読み終わるころには、あなたにとっての「最適な外注先」がイメージできていることでしょう。
アンケート調査におすすめの外注先2選とそれぞれへの依頼方法
アンケート調査の依頼先には、主に以下の2種類があります。
- クラウドソーシングサービス
- リサーチ会社
この章ではアンケート調査の外注依頼先について、特徴や依頼方法を紹介します。
コスパを求めるならクラウドソーシングサービス
クラウドソーシングサービスは、「仕事を頼みたいクライアント」と「仕事を受注したい登録者(個人・企業)」をつなぐサービスです。
アンケート調査にコスパを求めるなら、クラウドソーシングサービスをおすすめします。
クラウドソーシングのタスク機能を使えば、募集の手間もかからず、費用も安く済むからです。
1アンケートあたり最低5円から募集可能なため、お試しでやってみても損はないでしょう。
さらに早ければ1日で200件以上の回答を集まることも決して珍しくありません。
ただし、1万件を超える大規模なアンケートの実施には向いていません。
理由はシンプルで、1万件ものアンケート数が集まることはほとんどないからです。
よほど誰でも回答できる内容しか厳しいと言えるでしょう。
またアンケートの設問設計や、結果の集計・分析も、別途クラウドソーシングのワーカーにおまかせすることも可能です。
クラウドソーシングの依頼方法は「タスク方式」
クラウドソーシングサービスでは、「プロジェクト方式」「タスク方式」「直接依頼」などの依頼方式が用意されています。
クラウドソーシングサイトでアンケート調査を外注依頼する際には、「タスク方式」一で良いでしょう。
なぜなら、タスク方式の機能そのものがアンケート調査を目的として用意されているからです。
タスク方式での依頼は、以下の流れで進みます。
- 【依頼者側】アンケートテーマ・項目・必要件数を決めて募集開始
- 【登録者側】アンケートに対してワーカーが回答
- 【依頼者側】集まったアンケートをチェック、採用・不採用(※)を決めて報酬の支払い
※アンケートの内容と違う、イタズラ投稿などは不採用にすることで、報酬の支払いをせずに済みます。
アンケート募集するのであれば、クラウドソーシングサービスの『Craudia(クラウディア)』もおすすめです。
100万人以上が登録しているのに比例して、多くの回答を見込めるからですね。
ただし、いくら人数が多くても、募集する内容によっては、数を集めるのは難しくなります。
例えば、「年収1,000万以上ある人のみ回答してください」といった内容の場合、そもそも当てはまる人自体が少ないからです。
来場型・郵送型アンケート調査をしたいならリサーチ会社
来場型・郵送型アンケート調査をしたいなら、リサーチ会社が向いています。
リサーチ会社なら、WEBアンケートはもちろん、以下のようなアンケート手法にも対応できるからです。
街頭調査 | 調査エリアで通行人にアンケート回答してもらう手法。特定エリアで調査を行いたい時に用いられる。時間やコストがかかる。 |
---|---|
訪問調査 | 調査員が調査エリアにある家庭を訪問し、アンケート回答を集める手法。時間やコストがかかり、大規模な調査は難しい。 |
会場調査 (来場型アンケート) |
対象者を会場に集めてアンケートに回答してもらう手法。商品テストなどに用いられる。率直な感想を得られるが、コストがかさむ。 |
郵送調査 (郵送型アンケート) |
対象者宛にアンケートを送付し、回答のうえ返送してもらう手法。公的機関が行う調査でよく用いられる。いたずら回答は少ないが、回収率は低い。 |
ホームユーステスト | 対象者に商品を自宅で使用してもらったあと、アンケートに回答してもらう手法。未発表の製品をテストする場合は、機密情報の漏洩リスクがある。 |
リサーチ会社のもうひとつの強みは、アンケートの「設計」から「実施」「集計・分析」まで、アンケート業務のすべてに対応できること。
また以下のような大規模なアンケート調査も外注できます。
- 「商品テストや街頭調査を実施したい」
- 「アンケート調査のやり方がまったくわからない」
- 「サンプル数の多いアンケートを実施したい」
ただし、外注する業務内容が多くなるに比例して、コストが高くなる点には注意しましょう。
リサーチ会社への外注依頼方法は「問い合わせ」
リサーチ会社への依頼は、「問い合わせ」からはじまります。
リサーチ会社によって対応可能な業務や調査手法が異なりますし、依頼者側も「実施すべき調査手法や外注する範囲について迷っている」ことが多いからですね。
「アンケートの企画」から外注できるのがリサーチ会社のメリットなので、疑問点がなくなるまでじっくり相談しましょう。
発注までの流れを紹介します。
- 【依頼者側】問い合わせ
- 【依頼者側・リサーチ会社側】ヒアリング
- 【リサーチ会社側】見積もり作成
- 【依頼者側】発注
いくつかのリサーチ会社から見積もりをとり、内容や担当者の対応を比較して検討してください。
アンケート調査を外注依頼する時の費用相場
アンケート調査を外注依頼する際の費用相場を紹介します。
クラウドソーシングの費用相場はタスク方式の場合で1問あたり5円~100円程度
クラウドソーシングサービスでアンケート調査を行う場合の費用相場は、タスク方式を採用した場合、1問あたり5円~100円程度となります。
料金に幅があるのは、設問数やサンプル数(回答者数)によって変動します。
またアンケート調査以外の仕事も含めた費用の内訳は、以下のとりです。
- 計画・設計の外注費用:2,000円~5万円
- 実施にかかる費用:5円~100円×サンプル数
- 集計の外注費用:3,000~10万円
なおクラウドソーシングサイト上でアンケートを実施する場合、回答に対する報酬が少なすぎると、十分な回答数が集まらない可能性もあります。
設問数や回答にかかる手間や時間に応じ、回答者への報酬額を調整しましょう。
リサーチ会社の費用相場はWEBアンケートで10万~100万円
リサーチ会社にWEBアンケートを外注する場合の料金相場は、10万~100万円程度です。
料金にかなり幅があるのは、外注先や「設問数」「サンプル数」などによって料金が変わるからですね。
次のようなケースには、追加料金も必要です。
- スクリーニング(アンケート対象を絞り込むための予備調査)を実施する
- アンケート内でCMなどの動画を見せる
また外注先のモニターを対象にアンケートを実施する場合と、自社の顧客を対象にアンケートを実施する場合では、料金が異なります。
調査手法によっても料金は変わり、WEBアンケートよりも郵送調査や会場調査のほうが費用は高くなります。
アンケート調査を外注依頼する際に抑えておきたい4つのコツ
アンケート調査を外注する前に確認しておきたい4つのコツを紹介します。
調査目的やターゲットを明確にする
まずはアンケート調査目的やターゲットを明確にしましょう。
目的・ターゲットがあやふやなままアンケート調査をすると、せっかくのアンケート結果を活用できないからですね。
例えば調査目的が「女性用クセ毛シャンプー開発のための市場調査」なら、ターゲットは「クセ毛に悩む女性」になるはずです。
しかし調査対象に「男性」や「直毛の女性」を含んでしまうと、求めている回答が得られません。
また目的やターゲットを明確にしておくことで以下のようなメリットもあります。
- ニーズにあう外注先を決めやすくなる
- 外注先との打ち合わせがスムーズに進む
調査目的やターゲットは明確にしておきましょう。
外注先のサービス内容の違いを確認
依頼前には、外注先のサービス内容の違いをチェックしてください。
例えば、以下のような点が挙げられます。
- 設問設計から分析まで全部できる
- 集計しかできない
- 郵送調査に対応できない
また「結果の分析ができる」とうたっている外注先であっても、分析のレベルには違いがあります。
例えば、「コンサルティングまでできる」「一言コメントが付く程度」といったカタチですね。
また外注先によっては、「学術・官公庁での実績が豊富」「マーケティングが得意」など、得意分野も変わってきます。
自社のニーズや希望するサービスによって、外注先を決めましょう。
モニター内のターゲット数を確認
リサーチ会社を利用する場合には、モニター内のターゲット数を確認してください。
リサーチ会社は、アンケートに回答してくれる「アンケートモニター」を多数抱えています。
例えばマクロミルでは約1,000万人(提携会社含む)、クロス・マーケティングでは355万人(楽天リサーチ含む)ものアンケートモニターがいます。
モニター数が多いほど回答は集まりやすくなりますね。
しかし単純に「全体のモニター数」だけをチェックすればいいというわけではありません。
アンケートモニターが多くても、モニターの中に「アンケートの対象者(ターゲット)」がいなければ、結局回答が集まらないからです。
会社によって、抱えているモニターの「年齢層」「性別」「職業」は違います。
そのため50代以上の人にアンケートをしたい場合に、20~30代のモニターが多い外注先を選ぶと、十分な回答を集められない可能性があるのです。
虚偽・不正回答対策があるかチェック
アンケートを実施した際、以下のような回答を見たことがある方はいませんか。
- 自由記述欄に適当な文字列が入力されており、意味がわからない
- 設問1と設問2の回答が、明らかに食い違っている
アンケートに誤答やいたずらはつきものです。
とくにWEBアンケートは、「ウソの回答」「設問をきちんと読んでいない回答」が発生しやすいとされています。
そのため外注先に「虚偽・不正回答への対策があるか」も、確認しておきたいポイントです。
回収したアンケートにウソや回答間違いが多いと、回答結果を活用できないからですね。
例えば、次のようにアンケート調査できるサービスごとに不正対策が用意されています。
サービス名 | 不正対策方法 |
---|---|
クラウディア | イタズラ投稿を「非承認」にできる。 |
マクロミル | 虚偽回答をしたモニターへのアンケート配信を停止する |
アンケート調査を外注依頼するメリット
アンケート調査を外注依頼する主なメリットについて紹介します。
手間が省ける
アンケート調査を外注依頼するメリットのひとつは、手間が省けることです。
外注すれば、面倒な「アンケート実施工程のすべて」または「一部」を任せられるからですね。
アンケートを実施するにあたっては、以下のような作業が発生します。
- 調査目的とターゲットを決める
- アンケートの設問設計
- 実施
- 集計
- 分析
とくに「アンケートの設問設計」はアンケートの回答結果を左右する難しい作業です。
また集計や分析については、経験やノウハウがないと時間も労力もかかります。
すべて自社でやろうとすると負担が大きいため、「苦手な工程」「自社でできそうにない工程」は外注を検討しましょう。
回答者を集めやすい
リサーチ会社にアンケートの実施を外注する場合、回答者を集めやすいのもメリットです。
大手リサーチ会社はアンケートモニターを多数抱えているからですね。
自社で回答者を募るよりも、速く簡単に回答者を集められます。
客観的・専門的な分析が可能
専門家による客観的・専門的な分析が可能なのも、アンケート調査を外注するメリットです。
リサーチ会社や集計・分析代行会社はデータ分析のプロだからですね。
自社スタッフが分析を行うと無意識のうちに「社内や常識や固定観念」にとらわれてしまいがち。
しかし外注すれば専門的・客観的な分析を得られます。
アンケート調査を外注依頼するデメリット
アンケート調査を外注依頼する場合のデメリットについても紹介します。
アンケート専門の調査会社の場合、外注費用が高くつきやすい
アンケート専門の調査会社へ依頼すると、比較的費用が高くつきやすいです。
クラウドソーシングの1アンケートあたり最低5円からスタートできることを考えると、料金は高いと言えるでしょう。
現在では無料または安価で使える「セルフ型WEBアンケートツール(Questant、Surveroidなど)」も提供されています。
そのため「セルフ型ツールなら安いのに、外注すると高いなあ」と思う方も多いでしょう。
しかし、それでもクラウドソーシングでかかる費用と比較すると大きな差があります。
ただ外注すると「回答を集めやすい」「プロによるサポートを受けられる」「専門的な分析をしてもらえる」といったメリットがあります。
アンケートの重要度や規模によって、外注するかセルフ型WEBアンケートツールで自社実施するかを選択しましょう。
期待していた結果が出ない可能性
アンケート調査を外注依頼しても、期待していた結果が出ない可能性もあります。
外注先によって、得意分野や抱えているモニターに違いがあるからですね。
また「調査目的やターゲットが明確になっていない」という依頼者側の問題も考えられます。
「調査目的とターゲットをはっきりさせる」「目的とターゲットに合った外注先を選ぶ」ことで、「期待していた結果が出ない」という失敗は少なくなります。
結果を得られるまでに時間がかかる
結果が出るまでに時間がかかる可能性もあるのも、アンケート調査を外注するデメリットです。
外注の場合には、実際のアンケート実施までに、「ヒアリング」「見積り作成」「契約」を行う必要があるからですね。
一方クラウドソーシングサイトやセルフ型ツールを使って自社で実施する場合、2~3日で回答が集まることもあります。
アンケートの設問設計や実施が自社でできるのなら、「実施までは自社で行い、集計・分析だけを外注する」などの方法も検討してみましょう。
アンケートの集計・結果分析を外注したい場合の対処法
「アンケートは集まったけれど、どうやってまとめたらいいんだろう」
大量のアンケートを集めることには成功したけれど、上手く集計して分析するための手段がわからない人もいるのではないでしょうか。
この章では、アンケートの集計や分析を代行でやってもらえる外注先についてご紹介します。
アンケート集計作業のみをプロジェクト依頼する
クラウドソーシングでは、アンケートの集計・分析作業のみプロジェクト方式で依頼するのもおすすめです。
「◯◯のアンケート集計・分析依頼」と応募したら、ワーカーから応募が来る可能性は高いです。
特別な知識や技術を必要としないデータ収集の仕事は、人気の仕事のひとつだからですね。
また、「設問設計(アンケート作成)」「アンケート集計」などのキーワードで登録者を探し、該当業務ができる登録者に「直接依頼」もできます。
そのため「アンケートの設問設計」や「データの集計」を得意とする個人・法人が見つかる可能性は高いですよ。
集計・分析代行を専門としている会社への外注依頼
「アンケートをとったものの、量が多すぎて集計するスタッフが足りない」というケースもあるでしょう。
大規模なアンケートの集計・結果分析を任せたいなら、集計・分析代行を専門としている会社をおすすめします。
サンプル数が1万件を超えるアンケートの集計・分析も請け負えるからです。
「課題発見に向けたデータ分析」も外注できるので、アンケート結果をプロの視点で分析できるメリットもあります。
そのため「回答結果をどう分析し、活かしたらいいのかわからない」という場合にもおすすめです。
ただ集計・分析代行会社はデータ集計と分析に特化している会社です。
そのため「アンケートの設問設計や実施」は外注できませんので注意しましょう。
なお具体的な集計・分析代行会社には「プロセス・マネジメント」などがあります。
集計・分析代行会社への外注依頼方法は「まず見積もり依頼」
集計・分析代行会社への依頼は、「見積もり依頼をする」ところからはじまります。
各社で費用や対応可能な業務が異なるからですね。
発注までの流れを紹介します。
- 【依頼者側】見積もり依頼
- 【集計・分析代行会社側】見積もり作成
- 【依頼者側】見積もりに納得したら発注
ファーストコンタクトは電話や問い合わせフォームです。
なお見積もり依頼時、「アンケートの解答用紙」が必要になる集計・分析代行会社もあります
設問数や自由解答欄の有無によって、金額が大きく変わってくるからです。
複数の会社から見積もりをもらい、「集計方法」「データ分析の有無」などについて比較して外注先を選びましょう。
集計・分析代行会社の費用相場は10万~20万円
集計・分析代行を利用する場合、以下のような費用がかかります。
- 基本料金(かからない業者もある)
- データ入力費用
- 集計費用
- 分析費用
すべて含めて、集計・分析代行会社の費用相場は10万~20万円程度です。
金額に幅があるのは、会社によって入力費用や集計費用の料金設定が異なるからです。
また同じ会社であっても「設問数や自由回答欄の有無」「サンプル数」「集計方法(単純集計/クロス集計)」「分析のレベル」によって料金は変わります。
当然ながら、設問数とサンプル数が多くなるほど、そして分析が詳細になるほどコストは高くなります。
また単純集計よりもクロス集計のほうが費用は高いです。
まとめ
アンケート調査のおすすめ外注先と、外注依頼するときのコツについてお伝えしました。
お試しではじめるとするならば、Craudiaなどのクラウドソーシングサービスがおすすめ。
企業に発注するよりも安価に外注でき、「設問設計だけ」「アンケート結果の集計だけ」など、必要な工程だけを依頼できるからです。
もちろんアンケートの設問設計から実施・集計まで、ワンストップで請け負ってくれる登録者もいます。
「大量のアンケート集計や専門的な分析を依頼したい」という場合には、集計・分析代行会社がおすすめ。
また「郵送調査や会場調査を実施したい」「大規模アンケートを企画から集計まで外注したい」という場合には、リサーチ会社への外注をおすすめします。
どこに外注する場合でも、アンケート調査前には「アンケートの目的とターゲットを明確にしておく」ことが大切です。
この記事がアンケート調査の外注依頼に悩んでいる方の参考になれば幸いです。