都会からの移住 田舎暮らしの中古リゾートマンションはここをチェック

田舎への移住を考えるときに、新居購入の候補として忘れてはいけないのが中古のリゾートマンションです。不動産屋のホームページなどでも、「田舎暮らしのための一押し物件」として紹介されていることが珍しくありません。ただ、一軒家を選ぶときとは違った注意も必要になってきます。

田舎への移住を検討する人が増えている

田舎暮らしやIターン・Jターンのサポートを目的に設立された認定NPO法人に「ふるさと回帰支援センター」(東京都千代田区)があります。2017年に同センターに問い合わせたり訪れたりした人は34,891人もいました。初めて1万人を超えたのが13年なので、ここ4年で3倍にもなっています。テレビ番組の『人生の楽園』(テレビ朝日)に代表されるように、都会から田舎に移住した人の生活が紹介されることも増えました。

「移住ブーム」と呼ぶほどではないものの、関心を持つ人が増えたのは確かでしょう。国交省も「平成29年度国土交通白書」で「地方移住について、移住する側・受け入れる側双方での関心が高い(特に三大都市圏と5万人未満市町村)」としています。

リゾートマンションは田舎暮らしの住まいの有力な選択肢

ただ、実際に移住するとなると、いくつも解決しなければいけない問題があります。その中でも大きいのが住居でしょう。田舎暮らしといえば、まずは、広い庭の付いた一軒家を思い浮かべる人も多いかもしれません。しかし、実際にはリゾートマンションも有力な選択肢です。

リゾートマンションのほとんどは中古物件

リゾートマンションとはもちろん、温泉やスキー場、ビーチなどがあるリゾート地に別荘用に建てられたマンションをいいます。建築のピークは1990年で、この年だけで16,000戸以上が建てられました。ただし、バブル経済の崩壊とともに需要がなくなり、新しく建てられることはほとんどありません。

今は「都会からの移住者のための中古マンション」に様変わりし、不動産屋のホームページなどではかなりの件数が紹介されています。具体的に拾ってみると、以下のようなものがあります。

・神奈川県・湯河原2LDK (53.95㎡) 460万円
・静岡県・熱海2LDK(52.32㎡)200万円
・長野県・蓼科2LDK(94.65㎡)398万円
・栃木県・那須塩原2LDK(90.12㎡)480万円

リゾートマンションを選ぶメリット

目を引くのはその値段の安さです。「捨て値」といってもいいでしょう。いくら古いとはいえ、4〜500万円、ものによっては100万円以下でも見つかります。といって、建物や部屋が貧弱なわけではありません。むしろ逆で、ぜいたくが許される時代に作られたものなので、内装・外装・設備のレベルが高いのが普通です。

もちろん考え方次第ですが、田舎暮らしだからといって、一戸建ての田舎家にこだわる必要はありません。庭の手入れなどが不要な分、都会からの移住者にはマンションのほうがハードルが低いのではないでしょうか。わずらわしさがたびたび指摘され、田舎社会のデメリットとされる人付き合いも、移住者ばかりのリゾートマンションならばドライで済むことが多いでしょう。

リゾートマンションのチェックポイント

もしリゾートマンションを選ぶのならば、次のようなことをチェックしておく必要があります。

修繕積立費は管理組合全体のたまり具合を確認

建物が古いだけに、修繕積立費が高めなのは仕方ありません。購入時にわかっているのならば納得済みにしなければいけないところです。しかし、実際には全く足りないいい加減な金額になっている例が少なくありません。

大規模修繕工事は10数年に1回ぐらい行われるのが一般的です。資金が不足した場合、その間に本来は支払っておかなければいけなかった金額が、一時金として一気に請求されることになります。

リゾートマンションの多くはすでに2度や3度の大規模修繕工事を済ませているでしょう。「過去に一時金を徴収したことがあるか」「次回の修繕に向けて、今現在マンション全体で十分な金額をためているか」といったことをチェックしたほうがいいでしょう。

連絡先不通・所在不明者物件も要注意

古くなるほど管理にも手がかかり、管理費もアップする可能性があります。ただ、これだけが原因ならば劇的に上がるものでもないでしょう。注意しなければいけないのは、「連絡先不通・所在不明者物件」のある・なしです。単に空き家であるだけではなく、所有者すらわからない・名前だけはわかるが連絡がつかないといったものをいいます。もちろん、修繕積立費も管理費も徴収できません。残りの所有者らがその分まで被ることになります。

リゾートマンションだけではなくマンション全体を対象に国交省が2016年にサンプル調査したところ、全体の13.6パーセントに連絡先不通・所在不明者物件がありました。築年数ごとに発生率を見ると、10年未満0.9パーセント、20年未満2.0パーセント、30年未満3.3パーセント、40年未満3.3パーセント、40年以上3.9パーセントです。

国交省住宅局市街地建築課マンション政策室「マンションの再生手法及び合意形成に係る調査」PDF

リゾートマンションの多くは古く、また、普段は住んでいない所有者も多いため、都会のマンションよりも「前の持ち主は亡くなった。だれが相続したかわからない」といったことも多めにあるでしょう。購入を検討しているマンションではどのくらい発生しているか・増加傾向にあるかどうかを確認しておいた方がよさそうです。

病院・買い物場所をチェックするときの注意

別荘として使うのではなく、移住ならば真っ先に気になるのが、「病院はあるか。食料品などの買い物場所はあるか」でしょう。「そこそこ近くに総合病院がある」「小さいながらもスーパーマーケットがある」といって安心はできません。

それらが廃業することもありえます。都会であればもともといくつも候補もあれば、廃業しても同じ業種のものが入れ替わりに開業することもあるでしょう。田舎では採算が取れないための撤退が多く、建物が空いたままになってしまう可能性が高いです。特に人口減少が止まっていない地域は避けたほうが無難です。

観光シーズン中の様子のチェックは欠かせない

単に田舎というのではなく、リゾート地を選んだ場合によくある不満が「観光シーズンになると、道が混雑して身動きができない」と「ゴミを撒き散らすなどマナーの悪い観光客が増える」です。

騒音に悩まされることも多いようです。バーベキューなどでアルコールが入り大騒ぎしたり、夜中まで花火を上げたりする観光客もいるかもしれません。マンションは大きな壁状態なので遠くの音まで拾います。リゾートマンションがあるような場所は、ほかには大きな建物もなく、いっそう遠くの音まで響いてきます。

中でも深刻な問題になっているのが水上オートバイ(水上バイク)です。富士五湖・琵琶湖・長良川など全国で爆音を立てていて、行政側も対策を考えるものの十分ではありません。水辺はリゾート地の重要な要素なので、リゾートマンションを選ぶとエンジン音にいらいらさせられる可能性も高いでしょう。

物件選びは、たまたま現地への見学にでも行ったときの状況ではなく、観光シーズン中のことまで視野に入れて考えるのが不可欠です。

「人生の通過点のひとつ」か「終の棲家」かで変わってくる選び方

修繕積立費や管理費を調べる相手は各マンションの管理組合です。不動産屋を通して探しているのならば、責任を持って代わりに問い合わせてもらってもいいでしょう。

地方自治体などが「移住相談窓口」を設けるなど、受け入れ側の体制も充実してきました。地域の情報を集めるにはこれらも利用できるでしょう。とはいえ、やはり自分の目と足で確かめるのが基本です。理想をいえば、その地域に先に移住した人からの感想も聞くようにしたいものです。自分でいくらシミュレーションしても、見落とすところが出てくるからです。

また、「人生の通過点のひとつ」としての移住なのか「終の棲家(ついのすみか)」としての移住なのかでチェックポイントが変わってきます。

新しい土地での生活のやり直しは大変なものの、「人生の通過点のひとつ」であれば、病院や買い物場所がなくなるなど環境が変わったら、また次のところを探すことも考えられるでしょう。購入費の安さは大きなメリットになります。買ったときよりも何割も安く手放すことになっても、金額でいえばたいした目減りにはなりません。

もし、「終の棲家」としての移住ならば、そういうわけにもいきません。いっそう時間も手間もかけて慎重に選びたいところです。

ライター:柳本学

関連記事

せっかく修繕するなら考えておきたい、建物の魅力UPに繋がるいくつかのこと

不動産投資の現状とメリット・デメリット!

マンション経営をする上で注意したい事

実家の土地・家屋を売りたい!不動産売却の進め方

不動産投資で購入を検討する前に知っておきたいこと

後悔先に立たず!家の間取りで後悔したこと